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「初めての学園祭、楽しかったです」
「そっか、よかった」
クラスの後片付けを終えると、沙良と波折は二人で一緒に帰った。鑓水はクラスの友人とこれから遊びにいくということで、今日はこないらしい。つまり、今日はふたりきりだ、と沙良はわくわくとしてしまう。
「そういえば……たしか、明日沙良は有志発表やるんだっけ」
「はい、バンドをちょっと」
「なにやるの?」
「俺はキーボードですよ」
「へえー……いつ練習してたの? ずっと生徒会きてたけど……」
「ああ、朝とか、あと生徒会いく前にちょっと合わせてたんです。あとは家で練習してました」
「ふうん……すごいね」
学園祭終わりの帰り道は、わいわいと賑やかだ。鑓水のように友達同士で遊びにいく人や、クラス単位で一日目の打ち上げなんかをするところもあるらしく、駅に向かう道はたくさんのJSの生徒で溢れている。いつもの学校の帰り道とは違くて、なんとなく非現実的。そんな雰囲気が、楽しいと感じた。ずっと続けばいいのに、とは思うけれど、二日しかないというのがきっといいのだろう。明日の学園祭も頑張ろうと思いながら、沙良は周りの生徒たちを眺めていた。
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