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***  あれから沙良と波折は別れて、学園祭が終わるまで別行動をしていた。学園祭の閉会式は、前夜祭の時のように盛大に文化祭実行委員会と生徒会によってパフォーマンスが繰り広げられる。ただ前夜祭のときのように演劇をやったり花火大会をやったり、ということはなく、みんなで騒いでとにかく盛り上げようといった雰囲気だった。  ちなみに来客の投票でクラスと有志発表のナンバーワンが決められるのだが、クラスでは波折のクラス、そして有志発表では沙良のバンドがナンバーワンとなった。 「すごいね、沙良のバンド。一年生なのに一番だって」 「いや、波折先輩のクラスこそ……あれ、波折先輩の女装が強すぎなんですよ」 「嬉しくないよ。沙良のバンドは、沙良のつくった曲が強かったのかな」  授賞式で代表として賞状を貰った沙良と波折が、ステージの袖で笑い合う。前夜祭のときほど生徒会は忙しくないため、二人はゆっくりと他のメンバーのいるところへ戻っていった。他のメンバーと合流する直前に、波折がぼそりと、言う。 「沙良」 「はい?」 「……またあの曲聞かせてくれるの、楽しみにしてるね」 「……!」  ぐ、と沙良は唇を噛んだ。周りに人がいるというのに、思わずキスをしそうになってしまったのだ。沙良は寸のところでその衝動を耐えて、淡く微笑む波折に言う。 「……いつだって、俺の家に来てください。そうしたら、何度でもあの曲を弾きます。先輩を想ってつくった曲を、先輩のためだけに、何度でも」 「……うん」  波折がこく、と頬を赤らめて頷く。微かに瞳が、震えていた。抱きしめたい衝動をも耐えられた自分を、褒め称えたい。二人はそのまま他のメンバーに合流して、閉会式の続きを手伝った。

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