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第1話

クールαと平凡β 英 side 俺は、雲母英。23歳男、第2性はβ。 平凡な家庭に生まれた、平凡な人間。 強いて言うなら、勉強をするのが好きで人より出来た。あとは、共働きの両親のおかげで身についた家事能力。この2つを活かせる仕事に就きたくてたどり着いたのが執事。 高校を卒業し、執事養成学校に入学するためオランダに留学。全ての過程を修了し、各国で修行し帰国したのが今年。 その経歴が認めらて、晴れて日本の大企業・龍苑グループのお屋敷の執事として採用された。 ________________________ 「今日から、ここで執事として働くことになりました雲母英です。 ついこの間まで、イギリスで執事をしておりました。まだまだ、至らないことがあるとは思いますが御指南の程宜しくお願い致します。」 神室(かむろ)家令に促され、挨拶をした俺は早速執事の業務に移る。 しばらくして家令に呼ばれ、ついていくとこの家の主人に会わせると言われた。 長い廊下を歩いて行くと、いくつも並んでいる部屋の中でもひときわ大きく立派な扉の前で家令が立ち止まった。 「大地様、今日からここで働く執事を連れて参りました。」 「---入れ。」 「失礼致します。」 家令の後について部屋に足を踏み入れる。 部屋の奥のデスクに1人、その前にある応接の机に2人腰掛けている。 「こちらが、この家の主人、大地様。 そして奥様の知春様、大流坊ちゃんです。」 「はじめまして、今日からお世話になります、雲母英と申します。 ここで働く前は、イギリスのお屋敷で執事をしておりました。 これから、よろしくお願いいたします。」 「よろしくね、雲母。 あと、神室。坊っちゃんはやめてって言ってるじゃないか。」 「申し訳ありません、大流様。」 大流様が、冗談めいたように家令を嗜める。 それを見た大地様と奥様も笑い合っている。 うん、いい人たちみたいで安心した。 それにしても、なんかずこく甘い…花みたいな匂いがする。 すごく、すごくいい匂いだ。

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