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更紗の場合/39
賢人side
泣きわめく男を引き剥がし応急処置をする
倒れている男には意識はあった
「誰?」
「更紗の友達」
「更さん…更さんは…無事?怪我してない?」
「更紗は大丈夫。掠り傷だよ。ここに連れてきてくれたときあいつ靴履いてなかったからアスファルトで擦れたみたい。でも後は大丈夫」
「よかっ…た…」
「さっちゃーん!!いやぁ!!」
「…君の何?あの子…少しだけ静かにしてもらいたいんだけど…軽く…殴ってもいいかな?」
「さっちゃんから離れて!!」
男の手には鈍く光るものが握られている…面倒だ…
走ってきた男を倒しナイフを奪い後ろ手に縛る
「君の大切な人なら少し黙って!!大人しくして!!今手当てしてるから!わかった?それともこの人死なせたいの?!」
「やだぁ」
「じゃ。大人しくしてて」
更紗をみやるとおそらくパニックで今の状況は目に写してない。自分が涙を流していることさえ気付いていないだろう
あぁもう!!早く…早く抱き締めてやりたいのに!!
程無くしてやって来た救急隊に後は任せた。
更紗は気づけば意識を手放していた
「更紗…」
目の前でまた、人が刺される姿なんて…更紗が自分を否定してしまう要素が増えた…
やっと美芳さんの呪縛から逃れて前に進み始めたところだったのに
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