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更紗の場合/44
賢人の優しい手付きに身を委ねる。
きゅっと抱き締めて背中を撫でる
そろそろと背中を撫でる賢人に縋るように抱き付く
「更紗…」
ゆっくり服を脱がせていく賢人の長い指に期待が高まる
「はぁ…」
ため息を吐く賢人…やっぱり…俺は抱けない?こんなに…沢山…いろんな人受け入れてきた俺のこと…
不安になり賢人を見上げる。
すると少しだけ頬を赤らめた賢人。何だか可愛い…
「更紗。今日は抱き合って寝るだけにしよ?逆上せたばかりだし」
やっぱり…嫌なんだ…でも…嫌々と首を横に降る。やっぱり賢人に抱かれたい…
「ん~…」
でも…優しい賢人を利用しちゃダメだよね…外にいけば誰かいるよね…体を起こし服を整え出掛けようと扉へ向かおうとする
「更紗!だめ!」
突然の賢人の慌てた声に振り返ろうとすると
賢人がギュッと後ろから抱き締めもう一度ベッドに戻された。膝に乗せられた俺の項に顔を埋めすんすんと臭いを嗅がれてる…
「更紗…ここにいて?どこにもいかないで?」
え?…ここにいていいの?この先をしてくれるの?振り返ったら賢人がうつ向いていた
「キスしていい?」
それに首肯く
賢人のキスは暖かい。啄むように何度も何度も繰り返してくれる
「更紗…可愛い…」
もう一度唇を重ねた賢人がちろりと舌を出し俺の唇を撫でる。トントンとノックをするように舌を動かす少しだけ唇を開くとゆっくり慎重に賢人の舌が入ってきて俺のを捕まえる
「ん…っ」
「キス好き?」
うんうんとうなずくとまた優しく口の中を動き出す。
ゆっくりとした愛撫がたまらなく気持ちいい
「ん…もっ…と…」
「更紗?今声…」
「ん?」
「声でたよ?俺の名前読んでみて?」
「け…と…」
ガバッと抱き締められる。自分の久しぶりに聞いた声は掠れていて綺麗ではない。けれど賢人が嬉しそうに笑う
「更紗…更紗…」
「け…と…ケント…」
「更紗…良かった…」
この数時間で賢人に心の氷を溶かされたのだろうか?
どんなに出そうとしても出なかったのに…
バイト先で思い切り泣けたのも何か影響あったとか?わかんないけど…嬉しそうな賢人を見れて俺も嬉しかった
「賢人。…あり…が…と…」
「更紗…更紗…」
「賢人…続き…して?」
ごくりと賢人の喉が鳴った
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