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お泊まり翌朝とその後 2(side:佐藤くん)

※1/12に操作ミスで公開から下書きに戻してしまったため通知が行ったかもしれませんが、内容に変更はありません。すみません。 ──────────  そんなある日、斉藤先生から「今、話せる?」とメッセージが入った。  斉藤先生とは対談で上京して泊まらせてもらった時に連絡先を交換してから、メッセージのやり取りをしたり、たまに音声通話もしている。  斉藤先生は僕のことをSFファン仲間としても作家仲間としても気に入ってくれたみたいで、年の離れた友達という感じで親しく付き合ってくれている。  尊敬する斉藤先生にそんなふうに親しくしてもらえるのは恐れ多いけど、でも僕も斉藤先生と同じように彼と話をするのは楽しいと思っているので、今回もいそいそと通話アプリをつないだ。  互いに「こんばんは」とあいさつを交わした後、斉藤先生はさっそく用件を切り出した。 「実は来月発売の本のサイン会で名古屋に行くことになったんだ」 「本当ですか?  それは是非行かなきゃ。  整理券とか配るかな。どこの本屋ですか?」  僕が興奮していると斉藤先生が笑った。 「佐藤くんは友達だから関係者枠で整理券なしで大丈夫だよ。  それよりさ、その時にお願いしたいことがあって」 「あ、なんですか?」 「そのサイン会の前日の午前中に名古屋のテレビとラジオに出るんだけど、午後が丸々空いてるんだよ。  だからもし佐藤くんがその日暇だったら、佐藤くんの大学を案内してもらえないかな。  近いうちに地方の大学生を主人公にした話を書く予定だから、色々と参考にしたいと思って」  日程を聞いてみると授業は一コマ目だけの日だったので喜んで了承する。 「よかった。ありがとう。  楽しみにしてるよ」 「はい、僕も楽しみにしてますね。  ちゃんと案内できるように準備しておきます」 「あ、そんなに気合い入れなくても大丈夫だよ。  むしろ佐藤くんが普段の大学生活で使ってるような普通のところを案内してくれるとありがたいな。  その方が小説の参考になるから」 「あ、そうですね。わかりました」  その後しばらく最近読んだ小説の話などをした後、通話を終えた。 「また斉藤先生に会えるの、楽しみだなー。  どこを案内しようかな」  そうして僕は大学のホームページの見取り図を見ながら、斉藤先生を案内するところをリストアップし始めた。

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