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『涙、ほら……手は、こっち』
『あっ、……結生、……ん、……』
結生に、誘導されて、俺は結生の背に腕をまわす。そうすると、結生は、優しく微笑んで俺にキスを、してくれた。優しい、優しい、花びらのような、キス。裸になって、たくさんいやらしい声を出させられて、エッチなことをしているのに……すごく、純粋なことをしていると、そう思う。
結生が……好き。大好き。ベッドのシーツは、単調な白だった。でも、結生に抱かれていると、そのベッドのシーツは花嫁のベールだったり、真っ白な砂浜だったり、空高くの雲だったり、色んな白にみえる。ああ、こうしていると、世界はこんなに、美しい。
『はぁっ……あ、……ぁんっ……あっ、』
ベッドの軋みと、シーツの擦れる音、ちゅぷちゅぷという出し入れの音、それから結生の吐息と俺の声。「している」ときのこの音たちが、ものすごく、甘い音に聞こえてきた。
『ゆ、ゆきっ……あっ……あっ……』
『……』
『もっと、……ゆき、……ゆき……』
『あー、うぜえ』
『えっ……?』
俺が、幸せで、結生の名前を呼んでいると……ぱたり、結生が動きを止めて起き上がる。
……俺は、息を呑んだ。その目に、震えた。
結生の目は、昔俺をいじめていた人たちの目と、同じものになっていた。
『おまえめんどくせえんだよ。おまえが変なのは知ってたけどさぁ、やっぱ無理だわ。我慢の限界』
『ゆ、ゆき、……』
『セックスだっておまえとしててもつまんねえし。体ペラいし……なによりインバイの子じゃん? 無理、汚い』
『……、……えっと、……』
冷たい言葉。ショックを受けたのかといえば、違うと思う。やっぱり、言われてしまったか、という諦めのような感覚。いつか、こういった日がくることを、知っていたから。
でも……辛かった。もっと、結生に見つめられたかった。結生に触られたかった。結生に、キスをして欲しかった。結生の、隣にいたかった。
『結生……やだ、そばにいて……お願い、結生……嫌いにならないで……結生……好き、……好きです、……結生……』
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