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第2話

小枝を踏むような音に慌てて振り向くと、何故かそこには予想外の人物が。 でもって目の前の長身男前は幻覚じゃないなら多分、いやきっと絶対間違いなく──。 「……わん、わ……ん」 「はい? って何事、ちょっ、まま待って待てってば書記、書記さま!?」 解説しましょう。 いきなり現れた相手は生徒会の書記さまでした。そして俺はどういうわけか思いっきり抱きつかれ、物凄い強さで締め上げられてます。 ぐ、ぐるじい、助けて誰か! 「ぐえぇぇ、え……(ガクッ)」 「わんわん? わ、わんわん、わんわーーんッ!」 遠退く意識に書記さまの絶叫がこだまする。つか、何だよ「わんわん」って。 嗚呼やめて、ぺちぺち頬を叩いたりガクガク身体を揺すらないでください。 痛いし目が回って吐きそう。うおぉうふ。 こうして俺は一瞬(多分、数十秒くらい)気を失いました。 その短時間に綺麗なお花畑や、川の向こう岸から手を振る祖母ちゃんの姿が見えたことは忘れようと思います。 俺の祖母ちゃんまだ健在だし。 んで、次に目を開くと書記さまが泣きながら俺を覗き込んでて。 「ごめ、な……さい」 と謝ってくれるのは良いが。 あの、鼻水垂れてますよ? どんだけマジ泣きしてるんだこの人。 あーあ、せっかくの美形が台無し。 何はともあれ書記さまにティッシュを渡し、先ずは鼻をかんでもらったのだった。 だって何かいたたまれないし。 その際、俺から渡されたポケットティッシュを見てへにゃりと笑う書記さま。 えっと本当に大丈夫かな、この美形さん。 めちゃくちゃ嬉しそうに鼻水垂らしてるんだけど……。 ようやく少し落ち着いた書記さまが、たどたどしい喋りで説明してくれた内容によると、えーと以下参照。 その昔。 うまく人と話せなくて孤独を感じていた幼い書記さま。彼を慰め、友達になってくれたのは公園で出会った雑種の「野良」犬だった。 しかし、動物を飼うことを(実は接触自体も)禁止されていた為、家族の目を盗んでは何度も会いに行ったという。 .

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