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第15話

えーと、何だろうこの人達。 本気でアホばっかりですかうちの生徒会。 さっきから俺のこと完全に犬扱いだし。 特に会長さまの発言だと俺は雑種のノラ犬に似てるんじゃなく、犬本体の生まれ変わりって意味になりますが。 いや、え? そうなの? て、そんな訳あるかーッ! そもそも犬の話だって書記さまが一方的に言ってることで、俺は自分が元・雑種のノラ犬だとかずっと書記さまに会いたかった、なんてこれっぽっちも口に出してないからね。 学園で有名過ぎる美形に、しかもよりによって生徒会の皆さまになんか近付きたくなかったよ。 「わんわん……震えてる。嬉しい、の?」 「い、いやいやいや嬉しいとかじゃなくてですね。あのっ俺、補佐とか無理です器じゃありません。これでも平々凡々に地味で穏やかな一般生徒なりの学園生活を満喫してますんで、か、勘弁してくださいっ!」 補佐なんぞに就任した日にゃ、書記さま以外の生徒会親衛隊全てを敵に回すこと必至。 もれなく噂の恐ろしい制裁が待っているんだ、きっと。うわぁ俺終わった。補佐にならなくても今日、皆様に近付いたからって理由で目をつけられそうだし。 「おい、補佐については既に決まったことだ。ノラ犬に拒否権は無ぇ」 「先輩と生徒会の為です。諦めてください、わんわん君」 「ハッ、もしや犬小屋の設置場所が気に入らないのですか? この私としたことが……申し訳ありません、貴方の希望を真っ先にお聞きするべきでしたね」 「あは、結構おしゃべりなわんわん君だー。ほらほら泣かないで、俺も遊んであげるし。今度、外でフリスビー投げてあげるよぉ?」 「チャラ、だめ。わんわん……俺と遊ぶ!」 …………。 駄目だこいつら全然聞く耳持ってない。 いっそ滅べ、アホ美形どもめ。 あまりの横暴さに苛ついて、俺の腹に巻き付く腕をペシペシ叩いてやった。途端に、叱られたワンコのような悲しい表情を浮かべる書記さま。 くうう、だからそれは反則ですって。 思わず叩いたとこを撫で撫でしちゃったじゃないか。 「わんわん、可愛い!」 「ひゃうっ!? く、くすぐったい、ややや止め──」 .

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