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第75話
それにしたって俺なんかの手料理を、庶民的だし絶対口にあわない筈なのにお世辞でも褒めてくれて嬉しそうに食べてもらえて。
何か、なんて言うか照れ臭いというか。
すごく嬉しい。
着替えのために一度部屋へ帰る時も、ご飯が出来る頃に来てくださいと言ったのに数分後には全員戻ってきて、隊長さんと庶務さまは皮剥きを手伝ってくれたし。
副会長さまも出来た料理を並べる際に少し。
書記さまは……大人しく(?)着替えた後も縛られたままソファーの上に放置されてました。
目が合うとキュンキュン鳴いてるように見えて可哀想になっちゃうから、俺は必死に考えないよう調理に専念。
会長と会計さまは、えーと、邪魔だったので完成を待つ間俺オススメの激辛お菓子を味わって頂いた。
だってさ、一々何にでも興味もって聞いてくるんだよ。ゴボウの皮剥き(包丁のみねで根の先から茎に向かってこそぎ取る)が面白そうだからやりたいとか次は何をやるんだ、とか。
放っといたらキッチンにあるゴボウ全部の皮をこそぎ取られるとこだったし。毎日大量のきんぴら生活になるのはさすがに嫌だ。
まあ、その後は辛い辛いって大騒ぎしながら楽しんでたようです。
慣れるとクセになるよね、あーいうお菓子。
そんな風に、皆でわいわいしながらご飯を作ったり。
美味しいからもっと食べたいと言われたらそりゃもう、お世辞でも嬉しくない筈がない。
無理やりまた作る約束をさせられた、なんて言ったけど本当は、すっごく嬉しくて幸せな気持ちになって笑ってた。
俺が笑うと全員嬉しそうにニコニコして、会長と会計さまは食事前に辛いものを食べて血色が良くなり過ぎたのか、やけに顔が赤く見える。
そして、食事の時だけ椅子に縄でくくられ腕を自由に使えるようになっていた書記さまは
「わんわん、可愛いっ!」
「ひいいッ!?」
またも突然の興奮状態となり椅子ごと立ち上がって俺に飛びかかろうとした――ところを、隊長さんに仕留められた。
うわあぁぁん、ありがとう隊長さん!
***
色々ありながらも昨夜は引っ越しそばならぬ『引っ越し豚汁』を皆で食べ、一緒にゲームしたり漫画読んだり。会長と会計さまが俺の好きな漫画を読み始めたら変にハマって大騒ぎ。
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