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千尋と筋肉ハリウッド3[side 御影]
[side 御影]
俺と姫がトレーニングルームに入ると、今までトレーニングしてた奴らがソワソワと姫を見た。
姫は半袖Tシャツにハーパンだ。
学校ではこいつはまだブレザーを着てるから、普段ほとんど肌の露出が無い。
細くて白い腕や、可愛らしい膝小僧をチラ見してやがる。
当の本人は全く気付いていない。
やれやれ。高槻も大変だな。
「ん?」
姫が俺の腹をガン見して「いいなぁ。俺もムキムキになりたい」とツンツンとつついてきた。
「こらこら」
なんだこの可愛い生き物は。
ちょっとくすぐったいが、指先で俺に触れてくる様子が可愛らしくてニヤけてくる。
俺は姫に腕にぶら下がるよう言って、ヒョイと持ち上げた。
「すっげぇ!」
姫は子供みたいにキャッキャッとはしゃいで笑っている。
俺もつられて笑った。
こいつの笑顔はいい。
他の美少年と呼ばれる奴らは、媚を売るように笑う。てめぇが可愛いって言われるのを自覚して。
だが、こいつは屈託無く笑う。
その笑顔に周りの奴らが釘付けになっていた。
それを俺がギロリと睨んで一蹴してやる。
ビビったように慌てて目を反らした。
ストンと降ろすと「委員長。ハリウッドですね!」と、姫が嬉しそうに俺を見上げて言った。
「なんだそれ」
つられて笑ってしまう。
すっかり俺は姫が気に入ってしまった。
少し過剰にスキンシップをとって、他の生徒を牽制してやろう。
………まぁ、俺自身こいつとじゃれ合うのが楽しいからだが。
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