115 / 306

千尋と筋肉ハリウッド3[side 御影]

[side 御影] 俺と姫がトレーニングルームに入ると、今までトレーニングしてた奴らがソワソワと姫を見た。 姫は半袖Tシャツにハーパンだ。 学校ではこいつはまだブレザーを着てるから、普段ほとんど肌の露出が無い。 細くて白い腕や、可愛らしい膝小僧をチラ見してやがる。 当の本人は全く気付いていない。 やれやれ。高槻も大変だな。 「ん?」 姫が俺の腹をガン見して「いいなぁ。俺もムキムキになりたい」とツンツンとつついてきた。 「こらこら」 なんだこの可愛い生き物は。 ちょっとくすぐったいが、指先で俺に触れてくる様子が可愛らしくてニヤけてくる。 俺は姫に腕にぶら下がるよう言って、ヒョイと持ち上げた。 「すっげぇ!」 姫は子供みたいにキャッキャッとはしゃいで笑っている。 俺もつられて笑った。 こいつの笑顔はいい。 他の美少年と呼ばれる奴らは、媚を売るように笑う。てめぇが可愛いって言われるのを自覚して。 だが、こいつは屈託無く笑う。 その笑顔に周りの奴らが釘付けになっていた。 それを俺がギロリと睨んで一蹴してやる。 ビビったように慌てて目を反らした。 ストンと降ろすと「委員長。ハリウッドですね!」と、姫が嬉しそうに俺を見上げて言った。 「なんだそれ」 つられて笑ってしまう。 すっかり俺は姫が気に入ってしまった。 少し過剰にスキンシップをとって、他の生徒を牽制してやろう。 ………まぁ、俺自身こいつとじゃれ合うのが楽しいからだが。

ともだちにシェアしよう!