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目が覚めたら……。

「どう、これで信じてくれたか? 言ったとおり圏外になっただろ?」 奴は悠長に話ながらあざ笑っていた。俺は激しい憤りを感じながらも、奴から情報を聞き出す作戦に出た。 やはりこの状況では自分が一体、どこにいるのかもわからない。ましてや箱の中だ。相手が誰かもわからないなら、せめて自分が今いる状況を少しでも把握しておきたい。奴をぶちのめすのはその後だ――。  怒りをグッと堪えると、冷静さを装って犯人に尋ねた。 「おい、イカれ野郎! 携帯が圏外になったってことはここはどこかの山奥だな!?」 「へぇ、ちょっとは前進したみたいだね。さあ、頭を使って考えてごらん」 『ふざけるな、俺の気持ちも知らないでっ!!』 「質問は終わりかな? 私は別に良いよ。時間はいくらでもあるからね。あそこに連れてく前に、質問には出来るだけ答えてあげる。と言っても、聞いたと所でキミは既に囚われの身だけどね?」 「っ、テメェ……!」 「じゃあ、何もわからないきみに教えてあげる。キミが言う通りここは『山奥』だ。そしてきみは今、箱の中にいる」 「な、なんだって……!?」 「って言ってもまだ車の中だけどね。ホラ、わからないか? 例えば車のエンジン音とかさ」 犯人がその事を伝えてくると何かに気がついた。そう言えばさっき、箱が大きく揺れた気がした。 もし本当だったら俺は今、車の中にいるって事か――!?  ってことは車のバンか……?   ヤツは俺を箱の中に閉じ込めて、車でどこかに連れていく気か……?   いや、そうだとしたら俺は一体、どこに連れて行かれるんだ…――!? 閉じ込められた箱の中で顔が青ざめたまま絶望感で気がおかしくなりそうだった。後先を考えれば考える程に恐怖心が込み上げた。そして、静寂に包まれた中で車のエンジンが聞こえてきた。 犯人は電話越しで、クスッと笑いながら話した。 「――さてと、そろそろ本題と入ろうか? キミは今、自分の状況に絶望しているね。答えなくてもわかるよ。キミは私に連れ拐われたんだ。それはわかってるね?」   「ああ……! あんたがイカれたサイコ野郎って事ぐらいな…――!」 「こんな時でも強気な態度とは見上げたよ。でもいつまで持つかな。私は楽しみだよ」 「あんたの目的は何だ!? なんで連れ拐った! 俺に一体、なんの怨みがあるんだ!?」 「怨み? そんな事は今、答えるつもりはない。キミは私の質問に大人しく答えてればいいんだ」 「かっ、勝手な奴だ…――! お前は何様だ!?」 「……そうだね。強いて言えば、私はこのゲームを考えた主催者ってとこかな? キミは私のゲームに招かれたって言えばわかるかな。さてと今から二つの選択肢を与える。好きな方を選べばいい」 「ゲーム!?」 「選択肢だって…――!?」  余りにも突然のその言葉に驚くと、頭の思考がピタリと止まった。

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