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回想―悠真―

――俺は、どこにでもいる平凡な大学生だった。  ごく普通の家庭に育ち。  ごく普通の両親に恵まれた。  そして、ごく普通の年上の兄貴がいた。  俺の人生は平坦だった。  そこに何か大きな障害があるわけでもない。  そのまま漠然と、敷かれたレールの上に沿って淡々と生きていた。  自分の人生がつまらいとか、くだらないとか、死にたいとか、いつも心のどこかで考えていた。自分の人生は、こんなもんかと。どこかで自分の『定規』で人生を計っていた。  このまま平凡な人生を送るのかって、どこかで悲観した未来を見透かしていた。だから自分が、いざトラブルに巻き込まれた時にその平凡はなくなる。家を出ていつもの駅で電車に乗って大学に行く。 大学に行かない時は一日中バイトをしてる。レストランの店員とか、ガソリンスタンドの店員とかコンビニの店員とか、在り来たりなバイトをしていた。とくに自分でやりたいと思う、バイトとかなかった。いつもその場の勢いで決めていた。 ただ単に稼げればいいかなって、そんな在り来たりな理由だ。こだわる奴はこだわるんだろうな。何がやりたいとか、何がしたいとか……。  俺には正直そんなやりたい事とかはなかった。ボンヤリとした未来だけが、いつも見えていた。こんな性格だから自分で合わないバイトはすぐに変えたりした。  自分はそんな人間だった。そこに長く続けようとか仲間意識とかそんなものは一つもなかった。ただボンヤリと生きていた。元々人付き合いとか上手い方ではなかった。  どっちかと言うと独りで居たいタイプだった。 嫌いなヤツがいる職場にいつまでも居たいとか、そんな気持ちはサラサラなかった。 だから高3の夏の頃、レストランのバイトを辞めた。  理由は職場の同僚の嫌がらせだった。あいつはいつも嫌がらせしてきた。店長に言ってもあいつは嫌がらせをやめなかった。 だから頭にきて、その日にレストランのバイトを辞めた。3ヶ月くらいプー太郎でいた。そんなある日、親友の『真樹』が家に来て一緒にバイトをしないかと誘って来た。とくにしたい事もなかったので、一緒にカラオケのバイトを始めた。そしてそれが今にいたる。俺のバイト生活はこんな感じだった。

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