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【第10話】支配者

身体に違和感を感じて目が覚めた。目を覚ますと真っ白な天井が視界に入った。  また同じ景色だ。ここは、どこだ? 一瞬、全てが『夢』だったと思いたかった。俺が見た悪夢が全部、夢だったら良かった。だけど、これは現実だった。それも最悪な状況に置かれたまま、悪夢はまだ続いていた。  起きた瞬間、体中が痛かった。そして、背中が火傷の跡みたいにヒリヒリする。  ああ、俺あいつに背中に焼印を押されたんだ。だからこんなに痛いのか……。  真っ白な天井を見ながら、心の中で独り言を呟いた。全身が痛くてしょうがない。それに下半身もダルくて痛い。もう気分は最悪だ。さっきの事を思い出すだけでも胸の辺りがムカムカした。  男に犯された。  もうこれ以上の屈辱感はないだろう。 「死にたい……」  傷ついた心の声を口に出すと、呆然としたまま宙を見上げた。すると近くで食器の物音がした。そして、スープの匂いが漂った。ふと目を向けるとあの仮面野郎が近くにいた。  あいつはワゴンの前でカチャカチャと、食器の音を立てながら食事の準備をしていた。その瞬間ドキッとすると咄嗟にベッドから起き上がった。すると手には長い鎖がつけられていた。 「……!?」  ジャラッと鎖の音が鳴ると、仮面の男が後ろを振り向いた。  

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