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Ⅲ 競パンHERO's③

少年! 俺は、対面に座っている少年を知っている。 「あーっ」 お化け屋敷でぶつかったチビッ子だ! ここにいるという事は、お迎え待ちか。 迷子放送にご両親が気づくといいな。 ……ん? チビッ子、最終面接がどうのいってなかったか。 「怪談を聞いても全く怖がらない肝の座り様。お見それしました。 橋本様、おめでとうございます。最終面接合格です」 さっきの怪談だったのか…… 気づかなかった。 にっこり微笑んだのは、俺を半ば無理矢理連れてきた、お化け屋敷係員のスーツのお兄さん。 あの~ 「最終面接って、なんですか?」 「僕はこういう者だ」 両手で丁寧且つ優雅に差し出された名刺 あれれ? 名刺を差し出してるのは、お兄さんじゃなくって、チビッ子だ。 ええっと~、なになに? 『牛若PJ 副社長 (うしお) 源氏(げんじ)』……!! チビッ子、迷子じゃなかったのかー★ 「うううー」 「牛若PJで御座います」 「それーっ」 にっこり、お兄さん。 俺は絶叫する。 牛若PJといったら、日本のエンターテインメント業界を牽引する超有名企業じゃないかーっ! 「副社長ォーッ」 チビッ子が★ 「由比ヶ浜お化け屋敷は当社のプロジェクトだ。君のお化けの才能に、僕は惚れた」 えっ…… 「見せてもらったよ。吸血鬼ゾーンでの君の活躍を」 「ええぇッ」 「お客様の悲鳴は本物だった。君は、お化けになるために生まれてきたんだ!」 「はいー?」 「君を雇いたい。契約書にサインを」 ちょちょちょッ あれは不慮の事故! お客さんは怖がってたんじゃなくて、黄色い悲鳴なのーっ 「俺、働きませんから!」 「世界に名だたる我が企業を、袖にするとはいい度胸だ」 「うっ」 副社長の雰囲気が変わった。 ……怖い。 この空気……副社長の方が、よっぽどお化けに合ってると思うけど~ 「いいだろう。君を吸血鬼ゾーン(R18)主任に任命する」 「は?」 「君の力でお化け屋敷をもり立ててくれ。期待しているぞ」 ポンっ 背伸びして、俺の肩叩くなーっ 役職がほしいんじゃない! ほんとにほんとに、お化けになりたくないんだー! ……副社長、吸血鬼ゾーン『R18』って言わなかったか? 「打ち合わせは、そこの織部(おりべ)としてくれ。彼がリハ相手も兼ねている」 打ち合わせ? リハ? なんの事? 「それでは橋本様、早速打ち合わせに入りましょう」 なんでー! どうして、お兄さんまで脱ぐんだーッ 織部さんも競パンだ。 パープルの…… ……って、んな事どうでもいいわっ 「織部さんっ、服着てください」 「脱がなければリハできませんよ」 にっこり 優しい眼差しに…… ゾゾゾー♠ 背筋に冷たいものが走った。 リハって、リハって~ にっこり微笑む織部さん 「橋本君の担当は受けです」 俺は吸血鬼(R18)ゾーン主任!! エッチなリハだーっ!!

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