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第46話
なぁ、白川……
僕に手を拱いて、見せたかったのは……これか……?
『だったら、順番が逆だよ』『犯人は、犯してから殺したんだ』
『出来ないでしょ。殺人も、アレも』
──妖艶に誘い、僕を焚きつけながらこの小屋まで誘導する白川の顔が、脳裏に浮かぶ。
犯行現場や犯人を伝えるだけなら、こんな残酷な行為まで……見せる必要なんて、ないだろ。
……なぁ、白川……
ふわ……
辺りが仄かに、明るくなる。
見れば、白川の回りに蛍が現れ、淡い黄緑色の光を放ちながら……ふわりと浮かび上がる。
「……」
閉じていた筈の、白川の両瞼。
それがゆっくりと持ち上がり、灰色の瞳が僕の方へと向けられる。
……クス、
鮮血のような、赤い唇の端が小さく持ち上がり、その瞳が柔く緩む。
「……!」
蛍火から黒い霧のようなものが現れ、次第に人の形に成り変わっていく。
一人、二人、三人……
白川を取り囲むようにして立ち、ゆっくりと僕の方へ顔を向ける。
その瞬間──黄緑色の光が眩く光ったかと思うと、一瞬でパッと消え……白川も先生の影も、何もかも……跡形もなく消えた。
「……ぇ、」
そして、白川がいた場所に横たわっていたのは……
腐食した、……見知らぬ遺体。
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