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第1話
騒がしいのは常である。
裏路地の先端から再果てた砂地まで、お天道が輝くその刻から日が昇るその刻まで賑わい、巷の喧騒に塗れ、それはそれは、愉快であったという。
毎日が火花散るその中で、又ヒトという火花も失われていた。
「 伏が出たぞー!!」
一際大きな怒号が空気を裂く刹那、薄暗い路地へ身を滑り込ませる人影一つ。
覗いてみればまるで後悔した。そのヒトは、少女の身の丈でありながら長銃片手に "同族" の亡骸を抱えていたのだから。
「___て事があったんだけど、恐ろしいな…。ヒトは僕なんかより、よっぽど強い。あの少女なんか、顔色一つ変えず彼の首を提げていて…」
「はい、伶。今日の分。」
「…ありがと。」
いつも御免、そういう伶の顔は苦い色を残していたそうだ。伏とはヒトを喰うことで生きていける。森は伶含め、自力で生き魂を獲れない伏にこうして自らが手を汚し収穫したそれらを、分け与えていた。
「仕方ない。向こうが刃を向けて来る限り、俺たちもやれる事をしなくちゃ、ね。」
生きづらい。この時はヒトも伏も、そう思っていたのだろう。
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