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「代償」22

 確かに男同士のキスなんか見せられたら、良い気はしないだろう。後で泰明には何か奢ってあげようと、僕は心に誓った。 「終わったなら帰るぞ」  泰明はそう言い残すと、先に教室から出ていってしまう。 「あ、そういえば代償って何をすれば良いの?」  そういえば聞いていなかったと、神近くんに問いかける。神近くんは唖然とした表情をした後、お腹を抱えて笑い出す。 「先輩……面白いですね」  何か面白いことでも言ったのだろうかと、僕は首を傾げる。笑いすぎて涙を零す神近くんは、こうしてみると子供っぽい雰囲気が残っていた。 「もう良いですから。充分です」 「何が充分なの?」 「良いですからほら、置いていかれちゃいますよ」  神近くんはまだ可笑しそうにクツクツと笑い、僕の背に手を置いた。とりあえず神近くんが良いというのなら良いのだろう。 「とにかくありがとう。助かった」 「先輩、男の人に好かれやすいみたいなんで、気をつけた方が良いですよ。憑いてたのも男なんで」  神近くんは悪戯っぽい表情で僕の背を押すと、部屋から出るように促してくる。僕は釈然としないまま、追い立てられるようにして部屋を後にした。

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