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「嫉妬」4

 姉は怒り狂っていて彼氏に対する暴言を、何故か僕に向けて放っていく。  僕はその話を聞いた時、姉の罵倒に圧倒されてしまって肝心な事を抜け落ちていたのだ。なぜ女は、僕の事を知っているようなニュアンスだったのだろうか……  僕は神近くんに腕を引かれながら、定位置である窓際の席に座らされると、姉から聞いた話をポツリポツリと話していく。 「残念ですが、俺には手に負えません」  僕の話を聞き終えた神近くんが、開口一番にきっぱりとした口調で言い放つ。 「えっ……」  僕は愕然として、全身から力が抜け落ちていく。このままでは魂までもが抜け落ちてしまいそうなほどに、僕は絶望していた。 「その女、頭がおかしいうえにストーカー気質まで持ち合わせています。いくら俺が祓ったところで、何度も憑りつかれてたんじゃあ俺の身が持ちません。俺は素人です。もう、どうする事も出来ません。諦めて取り殺されてください」  神近くんの死刑宣告のような言葉に、僕はただ口をパクパクさせて言葉を発することが出来ない。 ここに来る時までは聞こえていた蝉の声が、今は聞こえなくなっていた。  目の前が真っ暗になる、の文字通りに僕の目の前が闇に閉ざされた。

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