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「嫉妬」6
神近くんはちゃんと部室にいて、僕の姿を見るなり「今日は帰った方がいいんじゃないんですか?」と僅かに気遣う声音で告げてきた。
「神近くん……運んでくれてありがとう」
保健室までここからだと、結構な距離がある。何しろ本館に戻らなきゃいけないのだ。廊下には冷房が入っていないし、最悪神近くんが熱中症になる可能性もあった。
「……別に良いです」
神近くんはどこかきまり悪げに、僕から視線を逸らす。
「そんな事より、その女をどうするかです。お姉さんの彼氏、どんだけ女泣かせなんだか……」
「……もう彼氏じゃないよ」
僕はそう言いつつ、神近くんの向かい側の席に腰を下ろす。
「そんなことはもうどうでも良いんです。別れたからって、向こうがこっちをターゲットにしている以上は、諦めるか納得するまで付きまとってきますよ」
パチリと小さな音を立てて、パズルのピースが嵌っていく。徐々に絵が輪郭を表す様子は、パズルに興味がなかった僕でも見ていて気持ちがいい。膨大な数の小さなカケラが、大きな集合体となった時の達成感は僕を魅了するには十分だった。
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