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「帰省」26
それだったらお兄さんがどうこうというわけじゃなく、こればかりは仕方がない事なのかもしれなかった。ある程度、大人になれば分かり合えることも増えるだろうし、その時には互いを理解できる時が来るかもしれない。
そう考えると少しだけ僕は、歩み寄ろうとしているお兄さんが可哀そうに思えてしまう。
「ほら、智代は少し変わってるから……一人でいることも多いみたいで。パズルとかの一人遊びに没頭することが多かったんだよね」
僕が驚いてお兄さんを見つめるも、相変わらず笑みを浮かべたまま、ゆっくりとした足取りで話を続ける。
「君も智依に付き合ってくれたんだろう? 災難だったね」
「えっ? どういう意味ですか?」
お兄さんの言葉の意味が全くわからず、僕は思わず立ち止まる。鬱蒼と木や草が生い茂っている斜面に、神社に繋がる階段が見え始めていた。
「霊が取り憑いてるだなんて理由にしなきゃ、友達を実家に連れて来られないなんて……小さい頃から何も変わってないよ」
お兄さんも僕が立ち止まった事で歩みを止めると少し振り返って、呆然として固まっている僕を不思議そうに見つめた。
「まさか、君。本当に信じていたの?」
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