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「虚像」30
「か、神近くん?何する気?」
僕が声をかけると、神近くんは少し強めに太ももに吸い付いてきた。ぞわぞわっとした感覚が下肢から伝わってきて、僕は慌てて神近くんの頭を手で押しやろうとする。
「……んっ、やめてっ」
「静かにしてください。誰か帰ってきても気付かないで、こんなとこみられちゃいますよ」
「じゃ、じゃあーやめれば良いじゃん」
神近くんはその言葉を無視して、指で下腹部を撫で回していく。
「ッ……くすぐったい」
「先輩はこうでもしないと、素直にならないじゃないんですか?」
そう言うなり神近くんが、僅かに反応している僕の昂りに触れる。
「あっ……んっ、やめてって……」
小声で抗議するも、今度はヌルッとした感触と熱さにビクッと体が震えた。
「か、神近くん!汚いからそんなとこ、舐めないで」
抗議して体を引こうとするも、神近くんは「暴れると噛み付きますよ」と僕を見上げてくる。さすがに噛まれたらひとたまりもないと、僕は抵抗するすべを奪われてしまう。
目尻に涙が浮かび、必死に声が出そうになるのを抑える。先端を舌で攻められる度に、体中が快楽に飲み込まれそうで怖いぐらいだった。
くちゅくちゅと静かな部屋に響いていて、僕は居た堪れない気持ちで唇を噛みしめる。
「あっ、かみちかくん、もう離して……」
このままされ続けたらイってしまいそうだった。さすがに口の中に出すのは、神近くんに申し訳ない。それなのに神近くんは、逆に激しく頭を動かし卑猥な音が増していく。
「ひゃっ……ほ、本当に出ちゃうからっ」
「出しても良いですよ」
「だ、ダメだよ!さすがに」
僕が必死に抗議の声をあげるも、神近くんはお構いなしに攻め立ててくる。
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