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no title
寂れたビルの一室。使われていない部屋は朽ちていくだけで、埃臭さも否めない。陽の光だけが唯一室内を照らすこの場所は、薄暗いと言っても過言ではない。
そんな中、男が一人部屋の中心にいる。一糸纏わぬ彼は、部屋の中央にある天井から床までの棒に両脚を縛られ、脚を開かされている。それ以外にも、両腕を身体に密着させて上体を縛られている。
普通であれば平常心を保っておられずにいるが、彼はどうやら気を失っているようだ。身動き一つせずただじっとしている。
その姿を見つめる、スーツを纏った男二人と椅子に座った女が少し離れた場所にいた。ずっと見ていたようで、女は少し待ちくたびれ様子を見せる。
もう何度目か分からない腕組みを変えたところで、男はようやく目が覚めた。全身の違和感にすぐに気付いたようで、自分の四肢のある方を見渡す。そして、視界に入った女に気付くと目を丸くした。
「どうしてお前が……。もう会わないって約束だろ」
「確かにそうだね。でもねアキ、あんたのせいで何もかもぶち壊しになった上にあんただけが幸せになってるのが気に食わないの」
「そんなこと、勝手すぎるだろ」
アキの言葉が女の癪に触ったのか、突然女は立ち上がり彼の顔へ思い切り蹴りを入れる。
「勝手なのはあんたの方でしょ!」
反動で顔が後ろへ下がっていくが、縛られているせいであまり動かなかった。
つかつかと足音を立てながら女は戻っていき、再び上から彼を見下ろす。
「まあいいや。あんたをボロボロにすればいいや」
パチンと指を鳴らすと、それを合図に立っていた男たちがスーツを脱ぎ出す。シャツや下着は一切纏っておらず、筋肉の盛り上がった肉体がそこに露わになる。
そしてゆっくりとした足取りで彼らは近付いていく。その姿にアキは逃げ出したくなっていたが、拘束された身体は動かせずにいた。
片方の男がアキの顔へと近付いていき、その場にしゃがみ込む。両手で顔を包み、口元へと顔を近付ける。そして硬く閉ざされた唇へ舌を這わせる。べっとりと舐めながら両方の親指で口の端から中に指を挿れようとする。
それを拒もうとしても男の指の力は強く、アキは強引に口を開かされる。歯列に親指を食い込ませてさらに広げる。
その指に噛み付こうとアキは指を押し返すように閉じようとする。しかし、力が拮抗して一切動かせなかった。
そのうちに男の指の力が勝っていき、大きく開かれていく。一点に集中した力は歯に大きな負担を与えている。何ともなかったアキの歯は、指が当たってる部分に少しぐらつきが現れ始めた。
「んあっ……」
男は手をそのまま動かさず、身体だけを動かして立ち上がる。アキの顔の前には反り立った男の太いものがある。
アキの脳裏には一つのことが埋め尽くしていく。男がそれを自らの口の中へ挿れる、と。
あまりの恐怖に必死に逃れようとするが、全身ががっちりと固定されていて動かすことができない。声を出すこともままならず、喉を通る空気の音がわずかに漏れている。
そこへ男のものの先端が挿入される。舌先で舐めさせるように擦り付け、細かく動かしていく。
「んっ、んうっ……」
拒絶したくてもできない現状に呻き声とともに涙が溢れる。そんな状態になったとしても彼女は止めてくれるはずがないと分かってはいるものの、身体も拒否している。
早く終わってしまえ、と何度も心の中で呟くが、嫌な時ほど長く感じるものはない。
それまで彼の後ろに立っていた男は目配せをしてもう一方の男が頷いたことを確認すると、しゃがんで腰を無理矢理浮かせる。そして左手の中指を後ろの孔の入り口へぴとりと宛てがい、力んだ入り口を強引に開けるように一気に中へと挿れる。
「んんっ!!」
不快感がそこから全身へと伝わり、動きに合わせて声が出続ける。
根本まで咥え込んだ指は縦横無尽に動き回り、本来の大きさよりも拡げようとしている。少しずつ隙間が増えていき、今度はそこへ人差し指を捻じ込む。
より動きの増したそこから強引さしか感じられない。
身体は拘束されているが、内部はそんなことはない。せめてそこから異物を追い出せないかとアキは力んで抵抗してみせる。
しかしそれは意味を成さず、むしろ逆効果であった。
内壁に指が食い込み、彼に刺激を与える。片方の指が膨らみに触れ、彼の身体を大きく震わせる。
「んうぅ!!」
反応を確認したかのように、立っている男は咥えさせていたものを一気に奥まで押し込む。声は甲高い悲鳴に変わるが、容赦なく喉の奥を先端で刺激する。時折苦しむ声が漏れるが、そんなことはお構いなしにアキの温もりを堪能している。
一方の男の指は、無理矢理ながらも巧妙な技術で拡げつつも身体を無理矢理反応させている。
アキのものは熱を持ち始め、先端は少し濡れている。一切触れられていないが自分の意思に反した状態に、彼は驚きに満ちていた。
それを確認した男は、挿れていた指を一気に引き抜く。塞いでいたものがなくなり、ヒクヒクと動いている。
刺激が減ったことにより安堵したアキであったが、しゃがんでいる男は腰をそれぞれ掴む。そして肩で全身を支えながら腰を上に移動させる。棒に縛られた脚は密着しており、動かされていることにより擦れて彼に痛みを与える。
「んううう!!」
顔と腰が同じ高さになり、男たちに支えられながら宙に浮いた状態となる。
しゃがんでいた男は片手を自分のもののところへと移動させ、そっと手を添える。アキの方を向いたそれは明らかに孔よりも大きい。それを近付けてぴとりと密着させる。
硬く閉ざされたそこは、完全に男のものを拒絶していた。しかし、なかなか侵入してこないそれに気が緩んで力が抜ける。
するとその隙を待っていたかのように、男は一気に奥まで挿入する。
「ううううぅっ────」
口を塞がれているがより一層大きい悲鳴が出る。男たちの腰は強引に規則正しく動かされ、両方からぐちゅぐちゅと音がする。
あまりの強引さに、アキの孔からは赤い血が出て男のものに付着する。
痛み、苦しみ、悲しみ、自分がされている行為に涙が溢れ出るアキ。止めるように反撃することもできず、ただ犯されていくだけである。
突然、口に自らのものを挿れていた男がアキの口から手も一緒に抜く。
「っ、あぁっ!!」
解放された口目掛けて勢い良く白濁が飛び、涙と唾液にまみれた顔が白く汚される。
ようやく呼吸ができると思っていたアキだが、口の中に入った白濁が独特の臭いが広がり、思わず咽る。
まだ挿れている男の刺激はより一層激しいものとなっていき、彼の内壁を刺激する。
「あっ、あぁっ、はぁ!!」
解放された口からは悲鳴にも似た喘ぎが、男の動きに合わせてはっきりと漏れる。
限界まで反り上がったアキのものは、少しでも刺激を与えられれば白濁を吐き出しそうなほど膨れ上がっている。しかし、男たちはそこに一切触れることなくただひたすら彼のそこ以外の場所に触れている。
少しずつ男の腰の動きが速くなる。ぐちゅぐちゅ、と音も同じようになっていく。男の動きに合わせて彼の身体がガタガタと揺らされる。
ピタリと突然動きが止まる。男は少し前屈みになりながらじっとしている。腰を掴む指が彼へと食い込む。
身体が治まったのか、ずるずると挿れていたものが引き抜かれ、血に混じりながらどろりとした白濁が漏れ出る。手を離してアキから少し離れていく。
ようやく解放されると思い、アキは安心感からかブルブルと震えながら自らも白濁を出す。後ろから太腿を伝いながら落ちていくすぐそばに自らのものも落ちていく。
男たちはその様子をじっと観察していた。
徐々に白濁は治まりを見せ、アキの身体も静止してくる。完全に止まると男たちは動き出す。彼の顔の前にいた男は後ろへ、後ろにいた男は顔の前へ立つ。
「……へっ?」
後ろに立った男はアキの腰を掴み、硬くなり始めているものを孔へ押し当ててすぐに思い切り穿つ。
「あぁ、やぁっ!! いやぁ……」
再び身体を犯され、絶望に包まれるアキ。せめてもう一方の男の手からは逃れようと、ぎゅっと口を閉じる。
なんとか堪えて最小限の喘ぎになっていたが、男の魔の手は閉ざされた口へと伸びていく。唇に捩じ込まれた指は歯列をなかなか突破できない。
アキの力の方が勝っているかのように思えていたが、男はそれまで出していなかった力を出して前歯を折る。
「ああああぁぁぁぁ────」
あまりの痛みに涙を流しながら絶叫する。口の中に入っていった歯は外へ投げ出され、根本からなくなったそこからは血が溢れ出る。
閉じていた口は強制的に開かされ、男の指の侵入を呆気なく許してしまう。その指はさらに奥へと進んでいき、ぐらついていた歯を掴む。そのまま一気に引き抜き、外へと放り投げる。
絶叫は増して室内に響き渡る。そこへ男は再び硬度を増したものを奥まで挿れる。血と唾液が混ざったそこは中に入ってきたものに絡みつくが、それでも溢れかえってアキの口から漏れ出る。
「んぐっ……うっ、んっ」
抵抗する力もなくなり、支えられながら二人の男にただ犯されていく時間が過ぎていく。
男たちは規則正しく動き、彼を刺激していく。絶妙な場所を突いているのか、彼のものは一切触れられていないのに再び反り上がっている。
すぐに限界を迎えたアキは、虚ろな目をしながら再び白濁を溢れ出す。その間にも男たちは一定の速さで腰を動かしていく。
吐き出し終わった彼はぐったりとしており、今にも意識を失くしそうである。しかし、男たちにより強制的に起こされている。喘ぎ声も呻き声もすっかり勢いをなくし、時折小さく声が漏れるだけである。
男たちはピタリと動きを止めるとその場で固まる。
しばらくすると挿れていたものを抜き、再び位置を交代する。そこには白濁が出され、だらりと床に落ちていく。
そうして何度も交代して両方から穿つ。
「……んっ? ちょっと止めて」
それまで黙って眺めていた女が男たちを制止し、立ち上がって歩み寄る。冷めきった目でだらりとしたアキを見下ろす。
「……もういいや。こいつ、目を開けたまま気絶してる。満足したら終わりにしていいよ」
そう言われ、男たちは挿れていたものを抜く。硬くなったそれを自らの手で扱き、吐き出される白濁を彼に向かって掛ける。
そのまま手を離して脱ぎ捨てたスーツの元へと戻っていく。
アキはずるりと落ちていき、床に全身を叩き付けられる。それでも起きる気配はなく、床に散った自らの体液であちこちを汚す。
そこへ女はすぐ横に近寄ってからしゃがみ、ポケットからカッターを取り出す。
皮膚に届くか届かないかというところまでぐっと力を入れて縛っていた縄を切っていく。
全てを切り終わると再び立ち上がり、背中を蹴りつける。
「ふんっ。お前は汚いのがちょうどいい。ざまあみろ」
二度と彼のことを見ることはなく、背を向ける。
男たちはすっかり身支度を終え、外を歩いても問題ない格好となった。
後ろについて来いと言わんばかりに女は歩き出し、部屋を去っていく。男たちも分かっているように歩き出す。
外に出ても、階段を降りるような音が響いていた。それも少しずつ小さくなっていく。
部屋はようやく静寂に包まれた。
ただ一人、使い古された雑巾のようになった彼だけを残して。
ひゅーひゅー、と小さく呼吸はして生きてはいるようだ。それでも、このまま自力で起き上がることができるかは分からない。
それでもなんとかしようと、横たわったまま動かせるところは動かそうとしていたが、その姿は惨めというしかなかった。
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