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第1話
超裕福だが冷たい。数十年前、そんな家庭に生まれた悲運の美青年、レオネル・ミラーは長身のタチ。独身で少し前、不慮の事故で両親を亡くしたレオネルは莫大な遺産を相続し大富豪になった天涯孤独の一匹狼。
…コイツは尻軽じゃないといいな…。
美青年がいる室内。そこで付き合っている男の寝顔を眺めながら考え事をしているレオネルはそう思った。
―――男感のある美貌。ブルーダイヤのような瞳。黄金色の髪の毛。大富豪になった後、純度100%の愛を与えてくれそうな男探しをし始めたレオネルは尻軽男達に浮気をされ別れた経験をしていた。
その時レオネルと付き合っていた男は尻軽ではなかった。がレオネルのカネ目当てだった。故にレオネルは後日、恋人に大金を奪われそうになった。
「…お前も俺を裏切るのかっっ」
恋人がカネ目当てだという事に気付いたレオネルは絶望した。
カネ目当ての偽善者と尻軽男しかいない世界で生きたくない…。
自殺願望を持ったレオネルは死に場所を求めて歩き始めた。
イルミネーションが施されている街路樹。幸せそうなカップルや家族連れの姿がある街中。そこでレオネルは刹那曲がり角から飛び出して来た美青年とぶつかりその足を止めた。
「すっすみません」美青年はレオネルにそう言うとぶつかった時に落とした本を拾い始めた。
その時、無表情で美青年が落とした本を一瞥したレオネルがその目を見開いた。
美青年の腰に手を回している美青年のイラストがプリントされているBL本。純度100%の愛を感じる美しいイラストに心を打たれたレオネルはその目に涙を滲ませ始めた。
「…あった…」
その時レオネルが自分が落としたBL本を目にし感動した事に気付いた美青年は腐男子。大人の事情でBL本を持って走っていた美青年はレオネルの頬を伝う涙を目にしその顔を綻ばせた。
「綺麗ですよね?」
「!」
レオネルに自分と同じ何かがある事を感じた美青年はレオネルが拾い見ていたBL本を「良かったらどうぞ」といいレオネルに譲った。
それからBL本好きの読者家になったレオネルは後日、BL小説を書き始めた。
後日、レオネルは自宅でその顔を綻ばせた。
「出来た…」
パソコンや大量のBL本がある室内。そこでBL本好きが高じてBL小説を書き始めたレオネルはカクヨムに自作のBL小説をアップした。
後日、レオネルが書いた小説を読んだ編集者の美青年がその顔を綻ばせた。
「見つけた」
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