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そばにいた君は 4

振られてからの俺の高校生活は そこまで変わらなかった。 高校2年。 少なくとも1年は共にしてきた友人がいた。 それに俺は健人が好きだったというだけで、 普通に男友達も女友達もいた。 健人が好きだということ以外、普通だった。 そんな俺の生活か健人がいなくなっただけだ。 登校は1人だったから今までと何も変わりはしない。 休み時間はよく俺の所に健人が来てたけど、 今まで通り話すことさえ辛かった俺は休み時間になる度に他の友人の机にいった。 昼飯も健人と一緒に食っていたが、きっとあっちも気まずいだろうと思って別の友達も食べ始めた。 下校も健人と一緒だった。今まで通り出来るはずがない。俺は別の友達と帰った。 今こうしてみると、健人との時間が思った以上に多かったことに気づく。 あぁ、寂しいななんて自分の行動を後悔する。 「ほーらほらほら、なーーに、しけた顔してんだーー! 俺までテンション下がっちまうぜ〜〜」 「響鬼……」 健人といた時間の代わりに、 俺と多くの行動を共にするようになったのはこいつ、響鬼だった。 元々仲が良かったからか、昼飯も下校も、 誘うとあっさりOKしてくれた。 そういう目で見たことは無いが、 友人としてすごく良い奴だと誇らしく思っている。 「悩み事か?俺が聞こうか? 健人のことか……?お前ら最近一緒にいねぇもんな!どうした?喧嘩か?」 母さん以外には黙っていた。 この想いは普通ではないと知った。 きっと言えば気持ち悪がられるだろう。 そんなこと重々承知だった。 だから溜め込んできた。 頭の中に、喉の奥に、心の底に。 こうやって心配されることなんてなかった。 「え、え、え……???」 言ったら駄目だとはわかっていた。 けど、誰かに相談したかったのだ。 年相応に、恋バナとして、誰かにわかって欲しかった。 苦しみを、辛さを、切なさを。 理解して欲しいとは言わない、ただ、 誰かにこれを立派な恋だと認めて欲しかった。 母さんだけでは抑えられなかった、 それほど、俺の気持ちは大きかった。 「ゆ、裕也っ?!!ど、どうした??」 この感覚は、いつかのものと似ていた。 俺の頭はぐちゃぐちゃで、 全てを知って欲しいという欲と否定されたくないという我儘でパンクして、 「な、泣くなよ!!」 俺は涙を流した。

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