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第7話

* 「茎田……くきた」 ペチペチと何度も軽く頬を叩かれる感触と心配そうな声で、目が覚めた。 「は、なもり……?」 「おう、……オハヨ」 「いま、朝か……?」 身体を起こそうとしたけど、何やら腰が痛くて起き上がれなかった。 「まだ無理すんなって!……ごめんな、昨日は手加減できなくて。その、身体大丈夫か?いちおう出来るとこまでは綺麗にしたつもりだけど……」 「……………」 互いに裸で、同じベッドの上。ケツには何かがまだ挟まっているかのような違和感、腰は痛いような重いような感じ。 そうか、夢じゃなかったんだな。 花森とセックス……しちまったのは。 「俺簡単な朝飯作ってくるから、茎田はまだ寝てて――」 「触んな、ヤリチン野郎」 自分でもぞっとするくらい、低い声が出た。 「はあ?」 「朝飯なんていらねぇ、俺は帰る!」 昨日のことを思い出したら、ついでに胸の痛みも思い出した。 今は花森の顔を見たくない。 もう友達ですら、いたくない。 「茎田?」 だって、俺は花森のことがそういう意味で好きだったんだ。 単なる憧れだと思っていたのに、セックスしたら自分の気持ちに気付いた。もう友達になんか戻れない。 だけど、花森にとって俺は不特定多数の替えがきく便利な性欲処理みたいな存在だなんて……耐えられない。キツすぎる。鬼かよ。 俺は何故か呆けている花森を無視して、床に投げ捨てられているシャツとパンツをなんとか身につけ、花森の部屋を出ようとした。 でも、一歩足を踏み出した瞬間に手首を掴まれて阻止された。 「茎田!おい、待てよ!」 「はあ?離せクソ野郎!!お前がそんな最低な奴だなんて思わなかったよ。いったい今まで何人連れ込んでヤリ捨てたんだ!?」 「だから何言って!……あっ……」 「なんだよ!?」 暴言を吐いて一触即発、殴り合いになるかと思ったのに俺の顔を見た花森は言葉を失った。 なに、いったい何なんだよ。 ん?なんか視界がよく見えねぇ。 ……俺、泣いてんのか? 「……あのさ、さっきからヤリチンとかクソ野郎とか酷くねぇ?泣きたいのは俺の方なんだけど。たしかに俺は童貞じゃねぇけど、お前の他にヤッたのは1人だけだよ!去年付き合ってた彼女だけ!」 「じ、自慢かよ」 「言わせたのはてめぇだバカ!でもそれもとっくに終わってるし、だいたい俺、抱く前にお前が好きだって伝えただろーが!!」 ………え? 「そりゃ、男の家にノコノコ来てとか、男も女も関係ねぇとか屁理屈言ったけど……お前バカだから、あわよくば流されてくれねぇかなっていう下心だったんだよ!!」 「ちょ、まて、なん、」 花森が、俺を好きだって言った? いつだ?そんなの聞いてねえぞ! 「俺は聞いてねぇよ!!」 「だろうな!このバカ!聞いてねぇならあんな簡単に流されんなよ、期待しちまうだろ!!お前なんなの?相手が男でも言いくるめられたら誰とでもヤッちまうのかよ?俺がヤリチンならお前はビッチじゃねーか!!」 「ビッ……」 チ~~~!? 18年間童貞処女の俺様を捕まえてビッチだとぉぉ!? 花森、殺す!!!

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