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第37話
薄暗く、じめついた空気。
部屋中に蔓延する、ハーブ系のお香。埃っぽいカビ臭。
服を全て剥ぎ取り、僕の四肢を上から押さえ付ける幾つもの手、手、手──
怖くて。……怖くて堪らない。
手足を動かして抵抗しようにも、震えが止まらなくて……
上に跨がった太一が、火傷しそうな程熱い舌で僕の右胸を舐め回す。舌先で転がされる度に育つ、しこりのような小さな芯。ピンと立つその乳首を何度も弾かれながら、じゅるじゅると卑猥な水音を立てて吸われる。
「……」
噛まれた所が、痛い。
怖くて、声が出ない……
……ゃだ……
やめて……太一……
唇を小さく動かしてみるものの、声にならなくて。
キュッと目を瞑った後、もう一度涙で濁る視界をゆっくりと広げる。
「……太一、っていうのか」
驚いたような表情。
瞬きもせず、見開いた怖い眼で見下げながら、僅かに唇が動いているのが見える。けど……僕には何も、聞こえない。
「さくらの次の家主 は……」
脅える僕の片足を持ち上げて担ぎ、その内膝に唇を押し当てる。
「でも、手放してなんかやらない。……さくらはずっと、ここで俺と幸せに暮らすんだよ」
「……」
震える小さな身体。
欲望の淫汁を垂らし、ドクドクと息づく熱芯の先が、フラッシュバックに脅え動けずにいる僕の後孔に宛がわれる。
ズンッ──
一気に打ち込まれる、ドス黒い欲望。
「──ぅ″ぁあ″ぁ……ッッ、!」
……いたい……
いたい、痛い……っ、!!
脳天を貫く鈍痛。
慣らされていない入口が裂け、僅かに擦れる度に走る、鋭い痛み。
零れる涙。濡れた睫毛。ハルオの唇が寄せられ、そっと目尻に押し当てられる。
「……凄く可愛いよ、さくら」
拘束されていた手首が外され、細い腕の内側を通って肘へと指を滑り下りる。先程まであった憑きものが落ち、恍惚とした表情のハルオが、痛みで歪む僕の顔を覗き込む。
「ごめんね。……でももう、我慢できそうにない」
肘に触れていた手が離れ、震える僕の前髪をそっと指先で退かす。そうしながら唇を唇で塞げば、ハルオの腰がゆっくりと動く。
再開されるピストン。欲望の詰まった怒張がギリギリまで引き抜かれた後、一気に突き立てられる。
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