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食卓を囲む大人数の家族に、結人は驚くしかなかった。
両親、秀、兄が二人に弟が四人。
兄達はそれぞれ結婚していて子供がいるし、弟達にも婚約者がいて兎に角賑やかなのだ。
ここに集まった人数だけでも軽く20人は越えている。
最初はカチコチだったが、直ぐに打ち解けた。
「へえ…、大学生なのに司法試験?
結くんは頭がいいんだねぇ。
秀、爪の垢貰って煎じて飲まねえと!」
「そうだそうだ。筋肉馬鹿は捨てられっぞ」
「何て事言うんだ親父!」
「めんこい嫁さんに逃げられたらやばいな、兄貴」
「もうすぐ30だってえのに」
「30じゃねえ!まだ27だっての!」
「四捨五入したら三十路だべさ」
「おっさんだって、投げ(捨て)られるで?」
「秀さんはおっさんじゃないです!
渋くてカッコよくて、いい匂いもします!
僕は絶対捨てません!」
「うお、マジか!」
「結くん、やっぱめんけぇわぁ」
何年も前から、いや、この家で生まれ育ったかのように自然に馴染んでる自分がいる。
結人はいつのまにか家族の輪の中にいた。
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