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「ねぇねぇ、結くんと秀が付き合う事になったきっかけってなぁに?」
「あっ、はわ……っ」
「うわー、聞きたいなぁ」
「俺も俺もー!」
「えっ、あっ」
大人達の視線が集中して、結人は狼狽えた。
ドキドキする胸を押さえ、深呼吸をひとつする。
「あっ、あの……。
きっかけって言うかその……。
僕がバイトしてるの、秀さんが居る東署の隣のコンビニで……。
皆油断してたんです。
こういう所に建ってる店なら、怖い人は来ないって」
「怖い人?」
「はい。
大丈夫って油断してて、秋祭りで混雑した日の夜に、包丁持った男の人が……」
「「………………っ!」」
「その時に秀さんが来てくれて、強盗犯を取り押さえてくれたんです。
その時に僕……」
「「………………」」
顔を真っ赤にしながらも、結人は丁寧に説明する。
お客様を避難させようとした時に怪我をしたこと。
取り押さえた後に、オーナーや店長に連絡したり本部に連絡する際に、秀が指示してくれたこと。
震えが止まらない結人に秀が付き添ってくれたことを。
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