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第4話
「華宮 真湖 さんは病院に運ばれ、今も意識不明の重体と」
朝のニュース番組を見た時、オレは息が詰まった。
真湖がまだ生きているっていうのが、嬉しいのか、真湖の願いが叶わなかったことが悔しいのか分からない。分からないけど、胸の中に凄い勢いで色々な感情が溢れだして、居ても立っても居られないっていう状態を初めて実感じた。
食べていた朝食がどこに入ったかも分からない。一緒にニュースを見ていた両親の顔がしかめられて、「華宮って言ったら有名なお嬢様の家柄よね」「娘が生まれたらしいけど、息子もいたなんてな。まさか……」そんな風に、無責任で下世話な話をしている。
大々的に広まる前に、きっと華宮の誰かがもみ消してしまうと思うけど。
でも、この瞬間、確かに華宮の名前はあがった。
真湖の復讐は叶ったんだと思う。
「行ってきます!!」
もう味なんてとっくに分かっていない朝食の残りを掻きこんで、オレは飛び出すように家を出た。
でも向かった先は学校じゃなくて、真湖が運ばれたという病院。
もちろん、家族でもなんでもないオレは病室に入れてもらえなかったし、マスコミが何人か押し寄せていて、ちょっとした騒ぎにもなっていた。
それなりに有名な華宮の子供が自殺未遂。それも息子が、なんて、昼のワイドショーをそれなりに賑わせるネタになるだろうから。
真湖は病院にまで迷惑をかけることは、望んでなかったと思うけど。
「真湖。アンタの復讐は、叶ったっすよ。多分こんだけ騒ぎになれば、華宮も下手に真湖を殺さないと思う。だから、だからさ」
あとは、目を覚まして?オレと一緒に生きて?
声になったかどうか、自分でも分からない言葉は、朝の賑わいに溶けていった。
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