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幼馴染

「乱次〜起きろって。」 目が覚めるとそこに居たのは幼稚園の時からの幼馴染、『佐藤 清治(サトウ キヨハル)』だった。 「…せめてインターホン鳴らせよ清治…。」 眠い目を擦ってベッドから起き上がる。 「わりぃわりぃ。それより乱次(ランジ)さ、今日の予定なんかあんの?」 人の家に勝手に上がり込んで叩き起しといていきなりなんなんだこいつは。 「ねーよ、なんで。」 「今日祭りあるんだってさ、行かね???」 「はー?お前人混み嫌いだろなんでわざわざ…。」 「いーだろ別に!人混みなんてとうの昔に克服したんだよ。」 「そーかよ。俺は嫌だね。こんな暑い中なんで外でなきゃなんねーんだよせっかくの夏休みだぞ。」 「頼むって乱次!今回だけ!」 顔の前で両手をパン!と合わせてお願いのポーズをしてくる。 清治が祭りに行きたいなんて今まで言ったこと無かったのに。 小学生のときは毎年嫌がる清治の手を引いて無理やり連れていったっけな。まぁそれも中学からは無くなったけど。 「そこまで言うなら行ってやってもいいけどタダとは言わせねーぞ。」 「今度なんか奢るって。」 「よろしい。」 高校3年同士とは思えない馬鹿な会話だ。 だけどこれが楽しいんだよな、きっと幼馴染の魔法ってやつだ。 「そうだ乱次!浴衣着ろよ浴衣!!」 「はあ?なんでお前はいつもそう唐突なんだよ絶対着ないからな。」 浴衣なんてもう何年着てないだろう。今更タンスの奥から引っ張り出したところでどうせサイズが合わないだろうし探すのも面倒臭い。 「清治が着ろよ、俺はTシャツでいいんだよ。」 「最後までケチだなー乱次は。」 「別に最後じゃないだろ来年もあるし再来年もある、だって俺たちまだ18だぜ?どっちもまだまだ死にはしねーよ。」 「はは、そうだな。俺ちょっと浴衣に着替えて来るわ。」 「おー。」 顔を伏せたまま俺の部屋から出ていった清治は少し元気が無さげだった。 「テンション上がったり下がったり騒がしいやつだな」 この時の俺はそれくらいにしか思ってなかったんだ。

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