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第50話

「んっ……」  怜司のように唇を強く押しつける感じじゃなく、唇の面積の半分くらい触れるようなキスだった。一瞬だけ離れたと思ったら上唇を食まれて、ちゅっと吸われる。 「あっ、ンンっ」  吸いながら舐められる、自分の上唇の感度が結構あって、ちゅくちゅくされるだけで、躰の奥がムズムズしだした。 「龍の唇、柔らかくて甘くて美味しい」 「浩司……兄ちゃん」 「もっと感じるコト、体験してみたい?」  明かりが煌々照らされるもと、互いの躰の変化が重なってるところから伝わってる。しかも浩司兄ちゃんは経験者で、僕の知らないことをたくさん知ってるだろう。 「僕は……感じすぎて怖い」 「さっきも怜司にされて、怖かったのか?」 「射精のない気持ちよさを体感したけど、そこにいきつくまでが、すごく怖かったんだ。痺れるくらい気持ちいいのに」  浩司兄ちゃんの着てるシャツを片手で掴み、ぎゅっと握りしめた。 「だったらそうだな。龍がわかってる気持ちよさを体験してみようか」  浩司兄ちゃんは起き上がって、僕が掴んでる片手を外し、安心させるように両手で包み込んでから、着てるものをすべて脱ぎ捨てる。そして寝ている僕の躰を横向きにし、浩司の頭は逆向きで横向きになった。大きくなってる僕自身をそのまま口に含む。 「あっ…はぁっ、ンンっ」  先端を唇で挟みながら念入りに出し挿れされるだけで、ものすごく気持ちいい。 「龍も同じことをやってみろ。どっちが先にイクか競争だ」  競争なんて言われたら、なんとしてでも勝ちたくなってしまった。だって相手は普段どんなことをしても勝つことができない相手――だからこそ頑張ってみたいと思ってしまう。  僕よりも大きなモノを口に咥え、わざと音をたてて強く吸ってやる。 「くっ! 結構やるな」  僕の口淫を止めるようにいきなり腰を動かして、喉奥目がけてグイッとスライドした。 「くぅっ! んぅっ」 「上も下もどうしてこんなに、龍は気持ちがいいんだよ。俺、負けるかもしれない」  負けるなんて言ってるのに、浩司兄ちゃんの口調は随分と余裕がある気がした。僕も同じように腰を前後させて、浩司兄ちゃんの口の中の気持ちよさを追いかける。 「はぁん…んっ、うっ…あぅん」 (そうか、自分から動くことで、イキそうな感じを調節することができるんだ)  喉奥を突かれると苦しいこともあり、両手を添えて根元を扱きつつ、頭を激しく前後に動かした。 「ンンっ、んうっ…んっんっ、はむっ」 「龍っ……ああっ、なんでそんなにいっ、うまいんだよ、これじゃ負けそ……」  なんて弱気の発言をしたハズなのに――。

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