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第56話

 そんな最悪の場をなんとかするために、両手を思いきり叩いて、パンっという大きな音を室内に響かせた。 「ふたりとも待った! 僕の話を聞いて」 「龍……」  怜司が僕の名を呼びながら、バツの悪そうな顔をする。 「……悪かった。龍の話を聞くよ」  浩司兄ちゃんはしっかりと頭を下げて謝罪し、僕を見つめた。 「あのね、どっちが好きかと聞かれても、順位なんてつけられない。だって僕はふたりとも大切だし、大好きだから」  この好きという気持ちは、今のところ友達以上恋人未満な感じがしたけど、あえてそのことを伏せた。本当のことを知ったら、このふたりのことだ、またなにかやらかすに決まってる。そんな気がした。 「大好き……」  浩司兄ちゃんが噛みしめるように呟く。 「なぁ龍、もう一度言って」  どこか必死な表情の怜司は、俺に抱きつきながらねだった。 「怜司ズルいぞ、さっきから龍にベタベタしやがって」  言いながら浩司兄ちゃんも、俺に抱きつく。  僕はふたりにサンドイッチされて、躰は苦しい現状なれど、心は不思議と満たされているのがわかった。  ふたりから寄せられる『好き』という想いに嫌悪感がなかったし、取り合いになることもちょっとだけ嬉しい。ケンカにならなければ、もっと嬉しい気持ちになれるだろう。 「浩司兄ちゃん、怜司。僕はふたりが大好きだよ」  ねだられたセリフを口にした瞬間、なぜかふたり揃って僕の大事なトコロに手をやる。 「ちょっと、なにしてんだよ、ふたりそろって!」  僕が文句を言ったら、浩司兄ちゃんは耳元に顔を寄せる 「龍は疲れてるのかもだけど――」  艶っぽい声が耳に届いたタイミングで、僕の腰にふたりのカタチが変わった大きなモノが、やんわりと擦りつけられる。 「龍に大好きと言われて、求められたら応えたくなるだろ」  怜司の顔が至近距離にセットされ、いつでもキスしそうな雰囲気を漂わせた。 「待って待って! 僕は大好きと言っただけで、求めた覚えはないよ」  慌てふためく僕に、浩司兄ちゃんはくすくす笑う。 「龍の大好きや待って、ダメとかやめても」 「もっとや気持ちいい、強くシてなんかも、俺らは自然と反応しちゃうわけなんだって」 「なっ!?」  怜司が僕の言葉ごと唇を奪ったのを見、浩司兄ちゃんは耳穴に舌を挿入した。 「んうっ……くうぅっ!」  浩司兄ちゃんの舌先が、音をたてて耳穴を責めながら、下半身に伸ばした手を使って僕自身をいたぶるようにゆっくりスライドする。  一方怜司は押しつけるように唇を重ね、下半身に伸ばしていた手を後ろに移動させて、感じるように尻を揉みしだいた。 「はあぁあん、おかしくなっちゃうよ」  今日の午後から、ふたりにずっと責められっぱなしなのに、躰はさらなる快感を求める。 「もっとおかしくなって。淫らな龍が大好きだよ」  耳を責めるのをやめた浩司兄ちゃんは、怜司の顔を押しのける勢いで横から強引に舌を差し込む。 「ふむっ!」  ふたりの舌が僕の舌に絡まる様子は、今の様子を表しているみたい。  与えられる快感に身をゆだねながら、空が白むまで愛のある卑猥な行為が続いたのだった。 true end 引き続きbitter endを連載いたします! また違った三人の関係をお楽しみください!

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