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第6話
凛の瞳が小さく揺れた後、真翔の真っ直ぐな視線を避ける様に、目を伏せる。
諦めにも似たその瞳の色。仕草や表情。小さな吐息。
そんな凛の様子に、真翔は迷わず凛を抱き寄せ、傷跡に唇を寄せた。
「……っ!」
痛かったのだろうか。凛の体がぴくんっ、と小さく跳ねる。
優しく凛の手を取ると、冷たい指先が細かく震えていた。
「……大丈夫だよ、凛」
顔を上げ、凛の顔を覗き込む。
視線の定まらない凛の瞳が、何処か遠くを見るようにぼんやりとしている。
「怖くないから……」
自身の服を脱ぐと、その震えた凛の体をそっと抱き寄せる。
触れ合う肌と肌。
凛の冷たい身体が真翔の熱い身体に包まれ、お互いの熱が混ざり合っていく。
トクトクと重なる二つの心音。
温もり──
「……うん」
凛が小さく頷く。
それを聞いた真翔が、熱い息を漏らす。
額から汗が滲み、繋がって大きな粒となれば、彷徨いながらも重力に従い、ゆっくりと肌を伝っていく。
その道筋が一度できれば、次に控えていた汗の粒が容易にそこを伝い流れる。
顎先に溜まった汗玉が滴り落ち、凛の肩で弾けた。
「……いいよ、真翔」
凛の掠れた声が、吐息と共に真翔の鼓膜を擽る。
その言葉を皮切りに、真翔は貪るように凛の耳殻を食み、外耳に熱い吐息を吹き込む。
ドォーン!
車の外で上がる花火。
その色が、真っ暗な窓ガラスを彩り、中で何が行われているのかを隠す。
真翔の手のひらが暗い車内から現れ、曇った窓ガラスの内側に強く付き──再びスッと消える。
……はぁ、はぁ、はぁ、
車内の温度が上がり、冷たかった凛の身体も次第に熱と湿気に侵される。
重なる肌。重なる唇。
座席に倒した凛の裸体は細く……しかし何処か色気を纏っていて、真翔を魅了し高揚させる。
恥ずかしかったのか。少し身を捩り、懇願する様に凛が潤ませた瞳を向ける。
「……凛」
凛の太腿に指を滑らせれば、吸い付くようなきめ細かい柔肌に驚く。腿裏に手を差し入れ、立たせた膝を押し開けば、抵抗する事無く従った。
その間から、雄特有の匂いに紛れ微かに甘い匂いが立ち込め、真翔の情熱が滾る。
柔くしなやかな内腿にちゅ、ちゅ、とキスを落としながら、凛の緩く起ち上がる中心部へと近付いていけば──
「……っ、だめぇ……」
熱い息を吐きながら、凛が小さく啼いた。
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