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第8話
もしかして、ここは王宮ではないだろうか。現にジュリオは城へ向かう途中だったのだ、怪鳥に襲われているところを城の兵士に助けられ、枢機卿の計らいにより保護されたとしてもおかしくはない。
今この場が王宮内の一室だとして、意識を失ったジュリオが贅沢なベッドで寝かされていたと考えるのが自然だ。けれど枢機卿は罰を与えようとしていたはずだとジュリオは首をかしげる。
百面相でもしていたのだろう、ジュリオの様子を黙り見守っていた長躯の男が、くつくつと笑いながら疑問を解いてやる。
「訳が分からんといった様子だな。いいだろう、教えてやる。おまえは善を盾に人間界を蔓延る、薄汚い司教に純潔を奪われるところだったのだ。そこへ出くわせた俺が、おまえの危機を救ってやったというわけだ」
泰然とものを言う男の説明を受けたジュリオは、意味が分からず軽く混乱を来すもの助けられたことに違いはないと謝辞を述べ、そのついでに着衣の行方を訊くことにした。
「ええと、あの、危ないところを助けていただいて、ありがとうございました。ご厚意に感謝をします。それから僕の服はどこに……とても大切なものなので、どこにあるのか教えてもらえませんか」
「ああ、おまえが着ていたみすぼらしい服か。それなら俺がおまえを連れ帰ってきたあと脱がせて処分をした。なに心配するな、もっといい服を着させてやる」
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