2月になると 何となく男子がソワソワしだす 突然クラスの女子に優しくなる奴もいる ましてや当日なんて… 「杉浦スゲーな」 クラスの男子たちが騒いでいた 見ると机の上には バレンタインチョコの箱が積み重なっていた 杉浦真人はキムタクみたいにカッコ良い訳じゃないけど 何故か…そう見えてしまう… 僕はというと…… 「雪菜ちゃんっ」 突然背後から抱きつかれる 「俺は雪菜ちゃんのチョコ欲しいな～」 僕の耳元で囁くのは 幼なじみの桜庭祐輔だ 「…あン…くすぐったいなぁ…」 少しむくれて祐輔を見上げる 「僕のじゃなくて"僕んちの" …でしょ？」 僕んちは小さなケーキやさんを営んでる だから身体も髪も甘っとろい匂いが染み付いていて 甘党の祐輔にはたまらないらしい…