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「まっつんが高校生の時からのお付き合いなんですって?」
「え…まぁ、はい。」
「そろそろまっつんに飽きたりしません?」
この野郎!何を言いだすんだ!
だけどパパはニコニコして言葉を返した。
「いえ、全然飽きませんよ。むしろ、歳を重ねる度に大好きになっていきます。」
何それ尊い!
でも、何故かパパの言葉に少しだけ棘 を感じる。
「ふーん。」
弥栄はあからさまに気に入らないという表情をして赤ワインを飲んだ。
「ま、俺はシーズン入ればまっつんを独占出来るから、オフくらいは奥様と娘チャンに譲らないとね。」
お、開き直ったか?余裕そうな顔でまたワインを飲み怪しい笑みを浮かべた。
「1月の自主トレ、今年からまっつんも俺のチームに帯同させるんで、3週間お借りしますねー。」
「はぁ⁉︎」
「あれれー聞いてなかったぁ?俺のチーム、グアム自主トレだから帰ってこれないよー。」
「……頑張ってくださいね。」
あれ?パパ、すっごくにこやか。いつもキャンプに入る時寂しい兎 ちゃんみたいになるのに。
「弥栄さーん、プールサイドでテレビ撮影始まりますよー。」
「はいはーい。じゃ、俺はこれで失礼します。またねー茉莉ちゃん。」
「二度と来るな成金ピッチャー。」
私は猫を追い払うように威嚇して彼を送り出した。
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