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第6話
お兄ちゃんが話してくれた事実は、15才の僕にとってあまりにも衝撃的だった。
それまで信じていたものが一気に崩壊し、絶望の淵へと突き落とされた。
「父と柚奈さんが結婚したのは、お兄ちゃんが12歳の時。父が夜勤で留守な時を狙って、柚奈さんが、ベットに潜り込んでくるようになって・・・やがて、柚奈さんが妊娠して・・・父はすべてを知り、お兄ちゃんは追われる様に家を出たんだ」
「・・・じゃあ・・・お兄ちゃんが、僕の本当のお父さんなの?」
「あぁ、そうなるね。だから、惹かれ合のは当然ーー互いを求めあうのもごく普通の事なんだ。未知、お兄ちゃんのこと・・・ううん、パパのこと、好きだろ」
にわかには信じられなくて、言葉をどう返していいか分らないでいたら、ふわりと体が宙に浮いて、冷たいシーツの上に寝せられた。
「少なくとも、パパは未知が好きだよ・・・」
何をするかとぼんやり見ていたら、お兄ちゃんが服を脱ぎ出した。
「お、お兄ちゃん!!」
吃驚してあたふたしていたら、筋肉隆々の均等の整った大きな広い体が、僕の小さな痩せっぽっちの体に重なってきた。
その中心は、お腹にくっ付くぐらい反り返り、赤黒色の雄の塊が凶器に見えた。
「未知・・・そんなに震えないで・・・怖くないから・・・少しだけ我慢すれば、癖になるくらい気持ちよくなるから・・・ね」
額に啄むような口付けが降りて来て、ボクサータイプの下着の中にお兄ちゃんの手が入ってきた。
部屋の中は、蒸し返るように暑いのに、僕の心は急速に冷たく凍り付いて行った。
「いゃ・・・あ・・・!!」
ずっと隠していた秘密を抉じ開けられ、体を貪るように荒々しく何度も抱かれ、欲望を―ーお兄ちゃんの子種を、これでもかと体の中に注ぎ込まれた。
お兄ちゃんは僕の事を愛してはいない。
母に対する復讐だったと、随分後になってから知る事になる。
お兄ちゃんに、身も心も囲われ、離れられなくなっていた僕は為す術もなく、それが運命だと、泣く泣く受け入れるしかなかった。
だって、一人じゃないから・・・。
「ママ~あかちゃんうごいた!!」
「ほんとだ~」
腕の中の二人の愛し子と、お腹のなかのまだ見ぬわが子の守るため、僕は、自分に嘘をついて生きていくと決めた。
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