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卵白や葛粉、海藻を混ぜて乾燥させた『いちぶのり』を口に含んだ榊様は、唾液でトロトロになったその潤滑油を指に絡ませる。
そして、四つん這いになり突き出した僕の後孔に、その指を宛がう。
「……あ…っっ、……さ、かき…さまっ、…」
幾重にもなる窄まった襞を押し開き、ゆっくりと骨太の指が入ってくる。
「──あぁっ!」
じゅぶ…、と厭らしい水音と共に、榊様の指先が焦らしながら肉壁を押し広げる。
その度にゾクゾクと粟立ち、矯声が口から漏れてしまって……
『感じるのは遊男の恥』と、遊男達を取り纏める遣り手の龍次に忠告されながらも、僕は……榊様の指だけで充分に感じてしまっていた。
そんな僕を見下ろし、榊様が喉を鳴らす。
「……ぁ、あぁん…、ゃ……っ!」
指が根元まで差し込まれれば、引き抜きながら指先が鈎状に曲げられ、ぐちゅぐちゅと柔い恥肉を引っ掻き回す。
「……もっと、その可愛い声を聞かせてくれ」
「──はぁ、あぁあ……んっ…、っ!」
両肘を付き、声を押し殺す様に自身の腕を噛む。
しかし、抜き差しを繰り返されるうちに自然と腰が揺れてしまい、もっともっとと恥肉が戦慄く。
「随分と助平だな、結螺のここは」
「……ご、ごめんなさ……」
「そんなに私が欲しいか?」
「……は、ぃ……」
潤んだ瞳のまま後ろを振り返れば、目に飛び込んできたのは──榊様の屹立した、黒々しい太い雄。ドクドクと主張し、鈴口から涎を吐き、今か今かと静かに息づいている。
ゆっくりと指を引き抜かれ、きゅんと寂しげに締まるそこに、その切っ先が宛がわれた。
「……至極綺麗だよ、結螺」
血管の浮き出た大きな手が、僕の背筋をさらりと撫で、尻を揉みしだいた後、僕の細い腰をがっしりと掴む。
瞬間──体に緊張が走って強張る。
「……こわ、ぃ…」
つい漏れてしまう、本音。
ぐっ、と腰を引き寄せられ、先程とは比べものにならない極太の剛直が、メリメリと恥肉を割くようにして捩じ込まれた。
「………っ!!」
目の前がチカチカし、真っ白になる脳内。
痛さで上手く逃れられない、息……
ぶるぶると震える内腿に、後孔から泡立った潤滑油がトロリと垂れ流れる。
「まだ痛い、か?」
「……」
首を左右に振り、そうではないと必死に伝える。
引けてしまう腰を突き出し、耐えるようにして残りの半分を待ち構える。
「……ぃ、挿れて……くだ、さ……」
整わない息のまま、掠れた声色を上げる。
それを合図に、再び雄肉がゆっくりナカへと押し込まれた。
──ズ、ズズッ……
ギチギチの剛直が最奥まで到達すれば、榊様の下生えが僕の尻を擽る。
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