1 / 1

第1話

…話って何だろ…。 エスカレーターの中。そこで小虹圭都は考え事をしている。 ―男感のある美貌。黒真珠のような瞳。黒い毛筆のような髪の毛。圭都は総務課の社員で小柄の好青年。色黒で社内恋愛禁止の会社で働いている圭都は少し前、トイレにいた。 「…あれか…」 電球が切れかかっていてチカチカしている照明。それを見た圭都は刹那、手にしていた脚立を使い電球の取り替え作業をし始めた。 ほどなくして作業を終えた圭都は自分の机がある場所に足を運んだ。 机や椅子が並んでいる空間。そこで上司に刹那、声をかけられた圭都は「エ」と言う言葉を発した。 社長がオレに話って…。 面接で会った事ぐらいしかない社長に話があるから…と社長室に呼び出された圭都は数分後、社長室内でその口を開いた。 「解りました」 少し前、社長に社内調査をする事を頼まれた圭都は何だそんな事か…と思いながらその口を開いた。 「誰のナニを調べればいいんですか?」 「それはな…」 それから圭都に調べて欲しい社員と役員の名前と部署、調べて欲しい事を伝えた社長は数日前、圭都の真面目な仕事人間…と言う評判を耳にした。 …小虹君に頼もう…。 その時、圭都に社内調査をさせる事を決めた社員は後日、圭都の上司に会った際、圭都に社長室に来るよう伝言を頼んだ。 それから上司に社長の伝言を聞き社長室に向かった圭都は付き合っている…と言う噂がある社員と役員の情報が書いてある紙を社長に渡され読み始めた。 …役員、黒田、社員、黒石…両方男って事は二人共ゲイなのか?…。 「本来の仕事の傍ら大変だとおもうけどボーナス弾むから頑張ってね」 社長はそう言うとその顔を綻ばせた。

ともだちにシェアしよう!