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第31話

「では…とりあえず、このグループの説明をしようか」 九条はゆったりと笑い、姿勢を正した。 「グループで集まるのは、大体週2回かな。事前連絡はない。当日知らせるから、来れない場合には無理に来なくても構わない。基本的には、この部屋に集まる。活動内容は様々。と言っても、ただたわいもないお喋りをするだけ。簡単だろ?」 そう言って肩をすくめる九条。 先程からのわざとらしい九条の動きを、秋月は少し冷ややかな目で見る。 「連絡は、久我からですか?」 「そうだね。学年も一緒だし、の方が君も安心だろ」 にっこりと作った風に笑った九条だったが、すぐに"あっ"と思い出したかのような顔をし、 「ただ、ひとつだけルールがある」 人差し指を立てた。 「グループのメンバーは、学年関係なく、敬称なしで、必ず下の名前で呼ぶ」 「敬称なしで下の名前…」 「そう。他者を敬うことは大切だが、それと年齢は関係ないからね。いまだ年功序列が残っている日本が不思議で仕方ないよ。それに、名前で呼ぶ方が親しくなれるだろ?」 「親しく……ですか」 秋月は九条でもそんな冗談も言うのかと思った。 明らかに九条は"親しみ"から程遠い人間であった。 「それに関しては異議がある」 ひょろりと背の高い色白の男が手を上げた。 「祥晴(よしはる)、どうした?」 「彼は、仮メンバーだ。呼び方に関しては例外にすべきだ」 神経質そうな顔が、秋月をじっと見る。 「俺も同感です。さして知らない相手から、突然名前で呼ばれても、嫌悪感しか湧かないと思いますよ」 秋月は祥晴の意見に乗った。 秋月の中でも、彼等とは一線を引いておきたいという思いがあった。 「君がそう言うなら、このルールは適用しないでおこう。それじゃあ……」 納得した九条は、続けて参加メンバーの紹介をしていった。

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