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❶ 目が合う
僕は男性恐怖症。
手の届く範囲に入ると、僕はたっていられなくなる。
どんなに心を通わせたって、触れ合うことはできなくて。
『おーーーい?藍?聞こえてる?』
「っあ、ごめん、A……。」
『もー、何?UFOでも飛んでたぁ?』
「ち、違うよB……」
『行くよ?』
「あー!待って、待ってよC!!!」
だから僕はA、B、Cの三人の女の子のグループに入れてもらっている。
クラスの子たちは僕のこの症状を知ってるから何も云われない。というか、この間Cに『藍はCらの中で1番女子。』とか云ってたけど、ソレ、褒められてないよね……?
僕だって、治したいけど身体がダメって云うんだ。
まぁでも、女性恐怖症じゃなくてよかった……かなぁ?
ジージーと聞くだけで汗が滲んでくるようなセミの大合唱。
ふぅ、と少しネクタイを緩めた。
『……こーしてみると、藍も男なんだよね』
ぼそっとAが云う。
「……え?そ、そうだよ」
じーっと見られ僕は恥ずかしくて手で顔を覆う。ちーさくなって、廊下の端っこにうずくまる。
あ、つめたい…
『見間違いだわ』『だよね』『でしょ』
僕の友達も、つめたい。
「あ、」
忘れてた、忘れてた、と云いながら藍はゴソゴソとカバンを漁り始めた。
『どしたの?』
「あのね、これ……」
そう云って、ピンクのラッピングが施された包を差し出す。
『え?どしたの……これ……』受け取ったAは首を傾げながら包を開ける。
『……!!!!!これ!!!めっちゃ欲しかった!!!』
ぱぁぁぁ、と顔が輝いたAを見て藍はにまにまと満足そうに笑う。
『どうしたの?これ……』
「えへへ、Aさっきからそれしか云ってない」
『どーでもいいでしょ〜?これってさぁ』
「そうだよ。この間欲しいって云ってた……よね?」
『云いました』
不意にそこまで黙っていたBとCが
『『あ!!!』』
と叫んだ。
『そういえば……』『今日って……』
『『Aの誕生日?!』』
「そうだよ〜」
Aが小さくため息をついたのが聞こえた。
「あれ……?B、C、忘れてたの……?」
あははは、と(A以外が)笑う中、藍はこの"ふつう"の日々がまだ続くのだと思っていた、
もっとも、3日と持つことは無かったーーーーーーーーーーーーーーー
✎……
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