1 / 1

❶ 目が合う

僕は男性恐怖症。 手の届く範囲に入ると、僕はたっていられなくなる。 どんなに心を通わせたって、触れ合うことはできなくて。 『おーーーい?藍?聞こえてる?』 「っあ、ごめん、A……。」 『もー、何?UFOでも飛んでたぁ?』 「ち、違うよB……」 『行くよ?』 「あー!待って、待ってよC!!!」 だから僕はA、B、Cの三人の女の子のグループに入れてもらっている。 クラスの子たちは僕のこの症状を知ってるから何も云われない。というか、この間Cに『藍はCらの中で1番女子。』とか云ってたけど、ソレ、褒められてないよね……? 僕だって、治したいけど身体がダメって云うんだ。 まぁでも、女性恐怖症じゃなくてよかった……かなぁ? ジージーと聞くだけで汗が滲んでくるようなセミの大合唱。 ふぅ、と少しネクタイを緩めた。 『……こーしてみると、藍も男なんだよね』 ぼそっとAが云う。 「……え?そ、そうだよ」 じーっと見られ僕は恥ずかしくて手で顔を覆う。ちーさくなって、廊下の端っこにうずくまる。 あ、つめたい… 『見間違いだわ』『だよね』『でしょ』 僕の友達も、つめたい。 「あ、」 忘れてた、忘れてた、と云いながら藍はゴソゴソとカバンを漁り始めた。 『どしたの?』 「あのね、これ……」 そう云って、ピンクのラッピングが施された包を差し出す。 『え?どしたの……これ……』受け取ったAは首を傾げながら包を開ける。 『……!!!!!これ!!!めっちゃ欲しかった!!!』 ぱぁぁぁ、と顔が輝いたAを見て藍はにまにまと満足そうに笑う。 『どうしたの?これ……』 「えへへ、Aさっきからそれしか云ってない」 『どーでもいいでしょ〜?これってさぁ』 「そうだよ。この間欲しいって云ってた……よね?」 『云いました』 不意にそこまで黙っていたBとCが 『『あ!!!』』 と叫んだ。 『そういえば……』『今日って……』 『『Aの誕生日?!』』 「そうだよ〜」 Aが小さくため息をついたのが聞こえた。 「あれ……?B、C、忘れてたの……?」 あははは、と(A以外が)笑う中、藍はこの"ふつう"の日々がまだ続くのだと思っていた、 もっとも、3日と持つことは無かったーーーーーーーーーーーーーーー ✎……

ともだちにシェアしよう!