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【SS】仲直り
前ページ、『【140字】意地っ張り』の続きを書いてみたくなったので
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険悪なまま一日を終えてしまった二人。同棲しているようなカップルなら珍しくもないことだし、それもまたマンネリ防止のスパイスにもなるだろう。
だが彼らは遠距離恋愛、一緒にいられる時間は限られている。一緒にいる間ぐらいは、ずっと幸せな気分でいたいし、相手もそうであってほしい。なのに、つまらない諍いから意地の張り合いに発展し、そのまま朝を迎えることになってしまった。
リョウが目を覚ますと、真向かいにアヤの顔。瞼は開いていて、自然、目覚めるなり目が合うことになる。アヤはいくらか動揺してるように見える。
ああ、眠れなかったのか。
リョウが悟る。アヤがいったん眠れば、昼近くまで起きないはずだから。
「……」
大きく息を吸っては、それは大きなため息となって再び外気に放たれる。定まらない視線、口惜しそうに噛みしめられた唇。
見てられない。
「ごめんな」
「なっ、んで」
謝ろうとしていたら先に謝られてしまい、アヤは驚きを隠せない。
「リョウは何も悪くない、それに昨夜だって謝ってくれた、なのに」
「アヤにそんな顔させてもて、ごめん」
「え?」
「俺と一緒にいてる時に、そんな顔させてもて。ごめん……」
それはこっちのセリフだ、とアヤは思う。
アヤの手を力強く握りしめたリョウもまた、何とも言えない苦々しいような、今にも泣きだしそうな表情を浮かべているのだ。
笑って。
お互いそう願っているのに、うまく笑えない。
だけど、握りあった手からは確かなぬくもりが掌を伝って体の中に沁み込んでくるし、もう存在を遠く感じたりはしない。
「俺も、ごめん」
「……うん」
リョウがようやく、はにかむように笑った。喜びを押し殺すような、蕩けるようないつもの、アヤが愛してやまない笑み。それを見てアヤも安堵と愛おしさに目を細め少し微笑むと、リョウの形の良い唇にそっと自らの唇を押し当てた。
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