診断メーカーお題 「いつまでもこの手をはなせずにいる」で始まり、「優しい風が吹いた」がどこかに入って、「明日は永遠に来ない」で終わる物語を書いて欲しいです。 -------------------------------- いつまでもこの手をはなせずにいる。 もう別れの時だというのに。 リョウは少し困ったように笑って、いつまでも手を離してくれないアヤの手をそっととり、横に置いた。 離す前に、リョウはもう一度きつくアヤの手を握った。 リョウが立ち上がり、アヤのもとを離れるとき、リョウと入れ替わるように優しい風が吹いた。 優しい、ふわりと穏やかな風が、アヤの頬を撫でる。 今生の別れでもあるまい。 いないならいないで、会えない間はいつも通りの生活を送れる。 そばにいなくても、ひとりじゃない、と思える喜びを知った。 明日が来ることを、幸福だと感じられるようになった。 もう、大丈夫。 昔みたいに、孤独に怯え、暗闇に怯え、いつ生きるのをやめても構わないと思っていた、 そんなつまらない明日は永遠に来ない。