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熱 1

 そんなふうにして、俺が異世界の森での暮らしに少しずつ慣れてきたある日のことだ。  その日は家の側の畑で作業していたのだが、朝からなんとなく体がだるいと思っていたら午後になって熱が出てきてしまったようで、体は熱いし頭もぼーっとして、だんだん仕事に集中出来なくなってきた。 「ごめん、テディ。  俺、風邪ひいたみたいでなんか熱っぽいから、家で休んできてもいい?」  仕事は大事だけど、体調が悪いのに無理して仕事を続けて風邪をこじらせたりしたら、かえって迷惑をかけそうなので、おとなしく休ませてもらおうとテディに頼むと、テディはハッとした表情になると、俺に近寄ってきておでこに手を当てた。 「あー、やっぱ熱ありそう。  テディの手、ひんやりしてるもん」  テディのゴツゴツした大きな手は、ついさっきまでクワを振るっていたのだから、どちらかといえば温かいはずなのに、それが冷たく感じるのだから、やっぱり熱があるんだろう。  テディは俺の熱を測ると急かすようにして俺の背中を押して、井戸で俺に手を洗わせてから、家の中に連れていった。 「テディ、俺、自分のベッドで大丈夫だから」  俺が普段使っているのはテディが用意してくれたわらの寝床で、そこそこ寝心地はいいのだが、テディは熱のある俺をゆっくり休ませようとしてくれているのか、自分がいつも使っているベッドに俺を寝かせようしてきた。 「んんー、じゃあ、今日だけこっち借りるね。  ありがとう」  いったんは遠慮したけれど、それでもテディがすすめてくるので、結局はテディの優しさに甘えてしまうことにした。  テディは体が大きいからセミダブルくらいある大きなベッドを使っているので、このベッドならゆったり眠れそうだ。  俺がベッドに入ると、テディは台所から濡らした布を持ってきて俺のおでこに乗せてくれた。 「ありがとう。  じゃあ悪いけど、ちょっと寝かせてもらうね」  テディが俺の言葉にうなずいたのを確認して、俺は目を閉じた。  ──────────────

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