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第23話 ペットの躾 ① ※

「後ろを向いて、腰を上げてろ」  素直に応じた亜樹の腰を和真の掌が固定する。  まだ真新しいチューブの蓋を開いて、和真が中のジェルを指先に少しだけ絞り出す。それが指先から垂れてしまう前に、まだ固く口を閉ざしたままだった亜樹の蕾に塗り込みながら、指の先端が潜り込んだ。  入り口を揉みほぐすように、浅く含まされた指が出し入れされて。 「ふっ、んっんん」  亜樹の鼻から甘い声が漏れた。  この後の事を思えば、ほんとうに僅かな刺激だろう。だが触れているのが和真の指だと思えば、その体温に快感はどんどん煽られていく。 「あっ、あぁっ、ぁっ」 「たったこれだけで感じて、堪え性がないな」  嘲るような声の後に、指を引き抜いた和真が手に持っていたチューブの先端を含ませた。その感触に次の衝撃に怯えた亜樹がとっさに身を捩ろうとする。だがそれよりも一瞬だけ早く、和真が亜樹の腰を抱え直した。 「ひっ!ああっ───!!」  和真の大きな掌で一気に押し潰されたチューブから、中に大量に詰まっていたジェルが体内へ流れ込む。  液体と言うには、それは溜まるような重たさで身体を内から苛んだ。だが玩具のような固形とは異なり、少しでも気を緩めてしまえば、緩んだ入口から溢れ出してしまいそうだった。その際どさに無意識に入口が小さく開閉を繰り返し、もどかしい疼きを生んでいた。 「ビーズを入れる前に零すなよ、零したら追加するぞ」  その言葉に亜樹の身体がカタカタと震えていく。  中に何かを詰め込まれる感触は、バイブなどを含まされるのとはまた違う圧の苦しさが一際あった。そしてその責めは、亜樹の苦手とする行為の1つだった。  中を零す不安にキュッと固く閉じた蕾の縁を、和真が掠めるような強さで撫でてくる。 「ふぅっ、ぁぁっ」  緊張に強張ったそこは、いつもより感度を増しているのだろう。たったそれだけの刺激にも堪えきれずに声が漏れた。 「こんな事で、この後はどうなるんだろうな」  聞こえた声音は冷たさの代わりに、ひどく意地の悪いような声音だった。  縁を弄っていた指が不意に固く閉じた蕾の中へ突き立てられる。浅い所しか弄られていなかった柔壁が、突然の侵入におののいた。 「ひぁっ!あ、ああっ!!」 「まぁ、いい。苦しければ苦しかっただけ、簡単にシッポを振るペットの躾には効果があるだろう」  突然にズルズルと中を擦る指を、ジェルが詰められた亜樹の中は抵抗なく受け入れる。 「や、やめ…あぁっ……あっ…」  抜かれていく指の動きに合わせてジェルが掻き出されそうだった。溢れ出さないよう、必死に入口を窄めながら亜樹が制止の声を上げた。

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