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(1)ロイドからの告白と初めてのセックス
そこは、LVMPD のあるダウンタウンに位置する「The Laundry Room」と黄色いネオンライトで書かれた、少しばかり高級感のある小さなバーだ。
ロウ「ロイド、どうした?非番の日の夜に、こんなバーに俺を呼んで……」
ロイド「ここは初めてくるのか?ロウ……?」
ロウ「まあな、一人だと、どうしても億劫で、家には”猫たち”もいるし……」
遅れてやってきた俺は、自分の酒が来ないかと待っているが、どうも店員は忙しいらしい。
ロイド「そうだな……あの”二人”と”4匹の猫”、ロウは大勢に囲まれているもんな……」
隣の席のロイドは俯き、自分のカクテル・グラスを持つ手を見詰めている。
ロイド「寂しくは……無いだろうな、俺と違って……」
ロウ「何言ってるんだ?俺にはお前やミエラ達がいるし、寂しく……なんて……」
俺は薄っすらと忘れてしまった声の、両親の顔を思い浮かべる。
ロウ「寂しいよ……少しだけ、な……」
──これは感傷的な話題だ。
自分の両親はある事件がきっかけで9年前に他界している。
俺はその事件を知るためにロイドの後を追って警察学校に入り、今、ラスベガス警察署で警察官として働いている。
しかし、その事件は、当時担当していた刑事の定年退職を理由に、現在は迷宮入りとなっており、無理心中と片付けられ、証拠が、一つも無いのだ……
ロウ「第一発見者は妹。高校から俺と二人で自転車で帰って来たとき、先に家に入ったルビーが、悲鳴をあげて外に飛び出した……第二発見者は、俺……遺体は……」
ロイド「その話をするのか?ロウ……」
そう言ってロイドは、俺の話を聞きながら、目から涙を流していた……。
ロイド「何度も、何度も、続きのないその話を……ああ、かわいそうなロウ……!」
ロウ「ごめん、そんな話、こんなとこでしても、な……俺にはお前達もいるし、寂しくなんて……」
俺はようやく店員から渡されたカクテルを飲む。
──味がわからないな──
アルコールの微かな匂いだけが鼻を掠める。
それは、この世の快楽と苦渋を一片に凝縮したような、僅かな味だ。
ロウ「人間の人生なんて、儚いもんだよ、幾度も酔ってはそれを忘れようと工夫するが、忘れられる試しがない!」
──苦くもなく、甘くもなく、虚無も絶望も平凡さえもない、そんな感情の無い、人生──
ロウ「なあ、俺は何で生きてると思う?わからないんだ……」
ロイド「俺は……そんな、お前が……」
頭を抱えて、顔を見せまいとする俺を、ロイドはそうして、何か濁したように、俺の肩に手をやってくれる。
ロイド「愛だけが、愛だけがお前にとって必要だと思うよ……与え、与えられる」
ロウ「そうかなぁ?ふっ……」
笑ってしまった。ロイドに掛けられた言葉が、ひどく陳腐に思える。
ロウ「愛など俺にとって何になる?親と俺らを哀れんだ親族が、親の金の為に俺を預かろうとする!」
ロウ「高校にもなって、まっぴらゴメンだ……ロイド、お前にだけは、感謝してる……俺を匿ってくれたり、一緒に警察官になれて、本当によかった……」
ロウ「あは、は……この年にもなって、何やってるんだろう?ほんと、恋人でも、作らないとな……俺は……」
俺のそれは困った笑い方だった。
ロイドは相変わらず、隣で涙を零しているが、不憫に思った俺は、その一雫を掬おうと、手を伸ばす。
ちゅっ……ちゅっ……
ロウ「ロイド!?」
ロイドは俺の差し伸べた手の指先を、自分の口に含むと、キスと舌先で触れてくる。
ロイド「すまない……突然、我慢が出来なかった……あまりにも、かわいそうで……」
俺はその瞬間、グイとロイドの顎を引くと、唇にキスをしていた。
ロウ「俺も、ゴメン、なんか、急にキスしたくなった、ゴメン、忘れて……」
ロイドは目を丸くし、口を開いたまま、驚嘆としている。
ロウ「ゴメンゴメンゴメン!まじ、忘れて……さっきの、何だか嬉しかったよ……」
ロイド「ふふ、ロウ……」
驚嘆するのを辞め、笑っているロイドが、何だが可愛く思える。
ロイド「愛しいんだ、ロウ……お前が……」
ロウ「何だ?もう酔って来たか?今日は泣くのか?それともキス魔の再来か?」
ロイド「違うよ……ロウ……」
先ほどのそれも、互いの酔いが回った為だろう。
俺は妻子のいるロイドに、昔以上に、恋い焦がれる事はなかった。
ロウ「あ、はじめに言っていた、寂しいって、なんて意味?」
ロイド「ロウのことが、恋しい。そういう意味」
ロウ「やーっぱ今日はキス魔じゃん、酒もうやめろ〜〜他に被害者が出ないうちに」
じっと見詰められる。ロイドの顔が段々と近づいて来て、俺はロイドにキスを貰う。
ちゅっ……ちゅっく……ちゅぷちゅぷ……レロ……
これは?ディープキス?
ロウ「ん、はっ……止めろよ、ロイド……ふざけるなよ……」
俺は両手でロイドの肩を押し、キスを止めさせる。
ロイド「違うよ、こういう意味だ……」
ロイドはズボン越しに、俺の股間に片手をやり、優しくしっとりした柔らかな手で触れてくる。
しかし、それはどう考えても、”愛しい者に対する、愛のある手付き”だ。
ロウ「ロイド?!?!」
ロイド「お前のを、俺で気持ちよくさせたい……抱いて欲しいんだ……」
ロウ「!?!?!?!?」
うそだろ……(酒が原因かは分からないが)ウットリと、俺の物を見つめて、そんな顔をするロイドは初めて見る。
俺は片手で顔を隠し、膨張して行く陰茎を感じる……。
ロウ「ロイド、止めろ、それ以上触られたら……」
ロイド「気持ちいいのか……?」
優しい声でそういうロイドに、思わず声が漏れる。
ロウ「うん、気持ち、い……じゃ、無くて!ほら……お前の気持ち……わかったような、分からないような……」
ロイド「お願いだ、抱いてくれ……一回ヤッて、良くなかったら、フっていいよ……」
ロイド「ごめんな、気持ち悪い男で……」
ロウ「そんな事は思ってない!だけど!」
ロイド「あの頃から、ずっと好きだったんだ!抱いてくれよ……」
ロウ「……ロイド、ホテル、行こう……ロイド……」
────
タクシーの中で、自分の酔いはすっかり覚めた、
まさかとは思うが、ロイドは、ずっと俺の事が好きだった?
高校時代の頃、俺が仕掛けた性的なイタズラを一瞬、思い返す……。
俺にだって、覚悟がある。
──ロイド、お前の愛、わかったよ。今日、これから抱くよ、お前のこと──
ラスベガスの繁華街を抜け、タクシーで、モーテルへと向かう。
────
ロウ「あ〜選ぶの、少し失敗したな……こんなとこでもいい?ロイド……」
到底眠れそうもない、嫌に軋むベッドに、壁とカーペットのシミが目立つ。ヤっていくだけの、簡素な部屋。
こういうのは、雰囲気が大事なのに、今にも経営破綻し潰れそうなモーテルに、「”男同士でも目立たないだろうから、一番奥の部屋で”」
恐らく、非行少年ぶっていた高校当時の、得も言えぬ犯罪者心理が、今、なぜか働いたのだ。今時、”ゲイ”なんて特別珍しくもないクセに、何か俺は後ろめたい事でもあるのだろうか……。
ロイドに謝ったほうがいいな、これは……。
ロウ「今から”大親友とヤっちゃう”んだけど、ロイド、心の準備はいいか?後、こんな部屋選んじゃってゴメン……」
ロウ「抱いてくれって言ってたから、俺がタチだよな……まさか逆だったら、俺は出来ないぞ……」
ロイド「うん、俺がネコになるよ、お前が攻めてくれ……」
軋むベッドに座るロイド。俺はその隣にギシっと座り、足を組んで頭に腕をやり、ベッドにもたれ掛かる。
ロイド「あと、この部屋、外にも廊下にも声は聞こえそうも無いな……良かった」
ロウ「うん?声?ああ、そうだな、一番奥にしたから……でも嫌だったら変更してもいいよ……」
ロイドは首を横に振って俺に合図を送る。このままでいいと。なら、よかった。
ロイド「どうしても、声が出てしまうんだ、お前に嫌われなきゃ、いいけど……」
ロウ「嫌う?ヤっても、ヤらなくても、たとえ上手くいかなくても、俺はロイドのこと、好きだぞ?」
ロイド「本当か?それは……」
その言葉に、どんな意味があるんだ……ロイドが尋ねたかったのは、きっとそういうことだろう。
ロウ「あのな、今後も、親友は辞めないって意味。分かる?」
ロイドの目からは、涙が流れ、しかし表情はいつものように、優しく笑っている。
ロウ「ロイド……」
ロイド「お前のことが、10年以上も好きだったんだ、いつかあの日、お前が抱きしめてくれた、それ以降ときめいて仕方がなかった」
ロイド「今日、こうやって告白できたのに、それだけでよかったのに、どうして俺は身体まで求めてしまうのだろう……」
ロイドの表情は段々と曇っていく。
──そんな顔を、しないでくれ……。
ロウ「お前の気持ち、わかったよ……キスしよう……ロイド……」
俺は起き上がり、ロイドを引き寄せると唇を奪った。
ちゅっちゅ……ちゅう…ちゅうちゅう……くちゅう……
ロイド「ん……嬉しい、ロウからのキス……」
ロイド「明日、俺は死ぬんじゃ無いか?こんなに幸せになっていいのだろうか?ロウは、今はどういう気持ち?」
ロウ「なんか、いつもと違うロイドに、ドキドキしてる……こんな色っぽかったかな?って……」
上着を脱がせ、シャツのボタンを外し、ロイドの膨らんで無い胸元を弄る……
ロイド「そっ……こは……!」
ロウ「うん?気持ち良いのか?乳首、舐めていい?」
ロイド「あっ……いいよ……好きにしてくれ……ロウの好きなように……ん」
ロイドの敏感そうな乳輪を指先で撫でると、ぷっくりと小さな乳首が浮き出てくる。
──なんだ、これ……かわいい──
ちろ……ちろ……れろ……ちゅうっ!……ちゅっちゅ!!
ロイド「あはぁ、吸ってくれるのか……?」
ロウ「敏感なんだ、へぇ……」
ロイド「自分で、ヤってた……から、ハァ……あっ……」
ロウ「え!?そんな事してたの?!」
ロイド「……あぁ、時々、な……お前に会った日には……帰って、一人きりで……」
──その言葉に、凄まじい興奮が、俺の脳裏、そして全神経を刺激する。──
ロウ「今すげー勃起した」
ロイド「!?」
ロウ「一人でしちゃうくらい俺のこと、好き?」
ロイド「大好きだよ……」
ロウ「それならそうと、早く言えよ……」
ロイド「それは!お前はストレートなのだと思ってたから……」
ロウ「んん〜じゃあ、俺は今から”バイ”だって知ってる奴には宣言するわw」
ロイド「俺にもチャンスはあるんだな……」
ロウ「大ありだよ」
ロイド「嬉しいよ……ロウ……」
"俺に会った日に、自分で……"その言葉の意味……。
そう言えば、俺の方こそ、高校時代の当時、ロイドがダンスパーティーで女装をした時に、俺はそれを見て自分で抜いていた。
──あれから少し老けたとしても、凄く美人なんだよな、ロイドは……──
なんだか今になって、その頃の自分の願望が、今更、果たされるのかと思い、胸が熱くなった。
そうか、両思いなんだ、今は……。
ロイド「ロウ?どうかしたか?手が、凄く……熱い……」
ロウ「興奮してるって言ってるだろ?頭がおかしくなりそうだ、俺も、お前のこと、好きだよ……ロイド……」
ロイド「嬉しいよ……ロウ……俺も、興奮してる」
もう一度ロイドの唇にキスをし、俺はロイドの下半身を露出させると、そのままペニスをしゃぶり始める。
ロイド「んっ!!ロウ、そんな事まで……嬉しい……」
ロウ「最後までヤってやるよ、絶対抱いてやる。安心してよ、ロイド」
ロイド「うん、うん……」
その美しい顔がどんどん赤く高揚し、ロイド自身のペニスも固くなる。俺は待ちきれず、ロイドのアヌスにも手をつける。
ロイド「はっ……ん、そんなところまで……愛してくれるのか?……幸せだ……」
ロイドのアヌスに唾液で濡らした指を入れ、前立腺があるらしい箇所へ刺激を与えてやる。
ロイド「はっ……!あっ……!!そこ!!」
ロウ「ここか?気持ちいいんだ?じゃ、俺のペニスも、好きになってくれる?」
ロイド「もう……好きに決まってるだろう?……挿れてくれ……愛してるんだ……」
ロウ「そうだな、ほらっ!お前の中に、入って行く……」
俺は服を脱ぎ捨て、ロイドのアヌスへとペニスを挿入する。
ロイド「あぁっ!!……あっ!!入って、入って……しまった、遂に大好きなロウのモノが……はぁぁあ……!!」
ロウ「愛してるよ、ロイド」
ロイド「もう、一生離したくない!!このまま繋がっていたい!!ロウ……」
ロウ「ロイド!ロイド!嬉しい!!嬉しいよ!!」
俺はその言葉から来る刺激によって、高ぶる感情とペニスを抑えきれなくなり、一心不乱に腰を振る!
ズッチュズッチュズッチュ……!!バッチュ……バチュ……!!!
ロイド「んんっ……!!!あぁ!!!あ゛っはあっ!!ロ゛ウ……!!!」
ロイド「あっ……!!あっ……!!!あっん゛……!!!!」
ロイド「ダメ……!!!!ダメ!!!ダメだ、こんな喜び……!!知らない……!!!ああ……!!!」
ロイドは初めてする性の快感と、すっかり俺のペニスに夢中だ。こんな男、俺が抱かないでどうする?
いやいや!と首を振るロイドは、もうすぐ果てそうなのか、全身を震わせると俺の首に手を回してきた。
ロウ「ほら、腰も!俺に脚、回して!そう、もっとくっつけるだろ?」
ロイド「あ゛!!!あ゛!!!あっん!!あ゛ん!!これへっ……!!凄っん……いぃ……!!!」
いきなり激しかったとは思うが、呂律の回らないロイドが可愛過ぎる。
俺はそのままピストンを早めると容赦無く攻めを続ける!
バッチュッ!!バチュッ!!バチュッ!!バチュバチュバチュバチュバチュ!!
ロイド「こ゛われる!!!あ゛ぁん!!!!」
ロイド「ッ〜〜〜〜〜!?!?!?!?!あああああああ!!!!!!!んんん!!!!」
ロイドのペニスは、ロイド自身の顔にまで射精すると、その瞬間、中を急激に締め上げる!
ロウ「ああああ!!ロイド!俺も!!!!イクよ!!!ッ〜〜〜〜!!!!!アッ……!!!」
ロウ「はぁ〜〜〜〜〜くぅ…………」
俺自身も、ロイドの中で果て、ペニスを抜こうとしたが、ロイドのガッチリとした脚のホールドで身動きが取れない。
ロウ「ロイド??ロイド?もしかして気絶した?」
ロイド「すぅ……すぅ……」
ロイド「したな、これは……俺も、……ねむ」
そうして俺はロイドのホールドから離れられないまま、倒れるようにロイドの上に重なって眠った。
──この瞬間が、ずっと続けばいいな……なぁ、ロイド、そうだろ?──
(ロイドからの告白と初めてのセックス/1話目完)
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