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第1話

柔らかな春の日差しがカーテン越しに差しかかる。 ピピピピ …6時。 目覚まし時計の音で起き上がる。 「おはよう、お母さん」 枕元に置いてある写真に優しく話しかける。 八雲 杏蓮 は、今日から高校生だ。 トントン、部屋のドアがノックされる。「はい」返事をすれば「朝ご飯が出来てる。着替えたらおいで。」声の主は杏蓮の義理の兄、司。 彼と出会ったのは中学3年生の夏。 元々病弱な母は杏蓮が小学5年生の頃病気で亡くなり、その後父は母を失った悲しみを背負いながらも仕事を続けた。その翌年、悲しみが軽くなった頃、父の仕事場に赴任してきたのが司の母親だった。司の父親は誰だか分からない、そんな中2人は出会い恋に落ちた。それから交際を始めて結婚した。 「おはよう。司さん。」 珈琲とトーストの淡い匂いが鼻につく。 「おはよう杏蓮。何度も言っているが義理とはいえ兄弟だ、そろそろお兄ちゃんと呼んではくれないか?なんならお兄たんでもいいんだぞ、お前の外見ならショタだからな、俺は言われたい。むしろ言え。俺の性癖...俺の仕事の資料にしたいからな。」 意味のわからない発言をしているのが義理の兄の司。 彼は22歳の小説家で、裏ではBL小説を書いている。所謂腐男子と言うやつだ。 ダマっていればモデルと間違われる並の外見だが中身は変態だ。人は見かけに寄らないとつくづく思う。 「絶対言わない。いただきます。」 「そうか…そういえば今日の入学式だが母さん達帰って来れなそうだ。代わりに俺が行くからな、可愛い弟の晴れ舞台だ、カメラを持って行かなきゃな。」 変な行動取らなければいいのだが… 朝食を食べ終われば入学式の準備をする。 「杏蓮、準備が出来たら〔お母さん〕に 挨拶しなね。」 「うん、分かってる。」

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