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♥第16話
「今日は遅かったんだね。」
「…うん。」
あまりの動揺に帰るのが遅くなってしまった。
「大丈夫?なんだか具合悪そうだけど…。」
「ううん。何でもないよ‼」
僕はまた、嘘をついてしまった。
そして、事件は起こった。
「…んん。…?…電気がついてる。」
透さんの部屋からかすかに明かりがもれていた。
恐る恐る近づくと
「…あぁ。今度の日曜日に例のホテルに行けばいいんだろ?…わかったから。…あの子とは、全く関係ない。…じゃあね。真弓美。」
「…。」
真弓美さんと電話?
あの子って僕のこと?
全く関係ない?
ホテル?
次々と嫌な言葉ばかりが頭に残る。
透さんは気づいてないんだろう。
僕が電話を聞いていたことに。
「大丈夫?本当に顔色悪いけど…。」
美和が心配そうに顔をのぞいてくる。
「大丈夫!心配しないで。」
しかし、最近寝不足で、食欲も落ちている。
家ではバレないように口に頑張って押し込み無理矢理飲み込むが、そのあとトイレに行き、吐いてしまう。
でも、今日は体が限界を迎えた。
「…あれ?か、らだ…が上手く起き上がれない。」
ベッドから体が起き上がれず焦る。
「学校…!どうし、よう…!」
コンコン
「失礼します…どうなされたんですか!?」
高木さんが来てくれた。
「…起き、あがれな…くて。」
「今日は病院に行きましょう。」
「…透さんには、内緒にして。」
「何故です‼」
「僕が、倒れたって知ったら日曜日行けなくなっちゃう。」
「…ですが、バレてしまいます。」
「今日は金曜日でしょ?だから、友達の所へお泊まりしたことにしたら、納得行くでしょ?」
幸い、うちの学校は土日祝は休みである。
「…わかりました。一応学校には連絡させてもらいますので後ほど病院に行きましょう。」
高木さんはスタスタと部屋を出た。
「…どうしようか。…」
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