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プレリュード 3(書下ろし後日談)
腰を支えながらかろうじて跨っているものの、中にドクドクと広がる隼人が出した熱いそれに感じて背中を仰け反らせると……自分も隼人の胸に白濁を吐き出した。
そのままバランスを崩し、雪崩落ちてしまった俺に心配そうな声が聞こえてくる。
「はぁ……はぁ……」
「大丈夫か……?」
「だい……ッ、んん……ッ」
前屈みに覆いかぶさり隼人の胸に身体を預けると、顎を取られそのまま口を塞がれた。
舌先が咥内を荒らし、舌を絡められながらされるキスに全身の力が抜けていく。
「はぁ……んッ……」
そして、下半身が疼くほどに夢中になった頃、その唇は離れていった。
「航平ってこんなにえっちだったんだな」
直後にそんな事を言われた俺が返答に困っていると、ちょっと待ってろと言って隼人がベッドを後にした。
すると、部屋の片隅にあるワインセラーから一本何かを取り出すと俺の前に差し出した。
「これもシャンパン?」
「そうだ、航平と一緒に飲みたくて急いで取り寄せた」
そしてサイドテーブルに置いたシャンパンを再び手に取った隼人は、慣れた手つきでワイヤーを外してコルクが飛ばないように手で抑え、ボトルをゆっくりと回していく。
「コルク飛ばないのかよ」
「大丈夫だ。しっかり抑えて、こうしてコルクと飲み口に隙間を作るようにしてガスを抜けば飛ばないないんだよ。これ、ちょっとコツがあって、コルクを回すんじゃなくてボトルを回すとうまくいくんだ」
そう、ボトルを傾けながら回しているとある一定のところでプシューっとガスの抜ける音が響いた。
「あ、ほんとだ」
「な?」
「すごいな、おまえ」
「今日まで何本シャンパン飲んできたと思ってるんだよ」
おまえの所為だと言わんばかりに睨まれて、そう言う隼人はちょっと憎たらしい。
「知るかよ、おまえが勝手に忘れられなかっただけだろ」
「ひっでーな。13年片想いってすごいと思わないのか?」
「だからさ……ッ……」
俺は知らなかったんだよって口を開く前に塞がれて、そのシャンパンを口移しで飲まされた。
「味はどうだ?」
「いきなり飲ませるからわかんねーよ!」
じゃあ、もう一回と再び口移しされ、その液体を今度はゆっくりと咥内へと注がれた。
その味を味わうように何度も俺たちはキスを繰り返し、その余韻を楽しむ。
この前飲んだノクターンよりは辛い気がする。
それに、さやわかな柑橘系のあとに広がる白桃のシロップ漬けのような香りは豊かな余韻が長く続くような……そんな味がした。
「で、なんて銘柄なんだよ」
「これ……」
「プレリュード……グラン……クリュ……?」
「テタンジェの中でもノクターンと対になるシャンパンだ」
「そうなんだ。プレリュード……って、前奏曲……」
「そうだ。俺たちにピッタリだろ」
そう言って穏やかに笑いながらもう一度キスを仕掛けてくる。
「航平、愛してる」
「う、うん……」
「うんじゃなくて……」
「俺も……好きだよ、隼人のこと」
“愛してる”とまだ口に出来ない俺。
忘れかけていた思い出を掘り起こし、これから俺は隼人を愛していく。
まだまだこれから。
俺たちはこれから始まる……
二人の未来へのプレリュードは、きっとこれから始まるのだろう……
END
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